事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

刑事コロンボを全部観る~Vol.24「白鳥の歌」Swan Song

2010-07-09 | テレビ番組

Johnnycash01_2  Vol.23「愛情の計算」はこちら

 日本人にはあまりなじみはないけれども、今回の犯人を演じるのはなんとジョニー・キャッシュ。カントリーミュージックの大御所。というより、リーズ・ウィザースプーンにオスカーをもたらした「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」のモデルになった人、の方がとおりがいいかな。

 そんな大スターに悪逆な役はキャスティングできないだろうから大甘なドラマになるかと思ったら……いやはや、すんごく出来がいいのでした。

 劇中でも大スターであるキャッシュのコンサートシーンから開幕。

♪悔いも哀しみもない 夜も闇もない♪

と歌い上げる「I Saw The Light」が泣かせる。

 歌詞でおわかりのようにこれは一種の宗教歌で、彼は妻(アイダ・ルピノ)が熱狂的な信者である宗教に金を吸い上げられる現状を打破するために(ついでに、若いバックコーラスに手をつけた過去を清算するために)、妻と愛人の殺害を図る。

 この妻がマジでいやな女で、ノックもせずに部屋に入ってくるあたりで夫を軽んじているのが歴然。なんにでも当たり散らすんだけど、彼女が最後に悪態をついたのは、自分を死に至らしめるコーヒーの味だったという皮肉。

 計画は大胆。セスナを操縦するキャッシュは二人をコーヒーに入れた睡眠薬で眠らせ、ひとりだけ飛び降りるというもの。もちろんそのまんまだと自分も死んじゃうので、自前でパラシュートを作っておき、航空鞄にしのばせていたのである。朝鮮戦争で彼がパラシュートの整備をしていた過去がここで活きる。

 コロンボはその過去を知って、これが計画殺人だと確信するが、なんと仕掛けた罠が空振り。どうする、コロンボ。

 ぬけぬけとコロンボのひっかけを言い抜けるキャッシュがすばらしい。なぜ操縦席だけシートベルトが外れていたかとの疑問に

「電気系統が故障したものだからデフロスタがいかれてね、なんとかしようと」

実にうまい。脚本が周到。その周到さはラストのどんでん返しにも及んでいて、なぜキャッシュがレンタカーを使うか、がネタなんだけど、ちゃんと序盤に『妻のせいで自分の車も買えやしない』ことが説明されてるんだよなあ。葬儀屋や被害者の弟など、サブキャラもいい味をだしていてお得な一品。ぜひ。

Vol.25「権力の墓穴」につづく

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