第29話「その男、多忙につき」はこちら。
ある事件(サードシーズンは時系列がめちゃめちゃなので、その事件は後日判明)を解決した古畑、今泉、西園寺の三人は、古畑が風邪をひいたためにひなびた村に滞在することになる。その村は、東京の大手デパート経由で売り出そうとしている地酒に命運を賭けていた。仲介をしているはずの女性(あめくみちこ)に、村長(松村達雄)をはじめ村民は接待の限りをつくすが……
おどろおどろしい因習の村における殺人事件。こんな横溝正史的背景にごまかされてはいけない。骨格ははっきりとヒッチコックの「バルカン超特急」なのに気づく。なにしろ戦前の作品なので観ている人はあまりいないでしょうからちょっと紹介。
バルカンからロンドンに向かう列車の中で、同室となった婦人が消え失せたことに不審を抱いたヒロインは、乗客や乗員に行方をたずねる。でも「そんな婦人はいなかった」という答しか返ってこない。自分でも判然としなくなったヒロインだが、窓には婦人が名乗ったときの指文字の跡が残っていた……
近ごろそんな映画観たぞ!と気づいたあなたはかしこい。そうです、ジョディ・フォスターの「フライトプラン」はこの映画をいただいているわけ。知ったような口をきいていますが、わたしだってオリジナルはリバイバルで観たのだし、それ以前にエリオット・グールドとシビル・シェパードで再映画化した「レディ・バニッシュ~暗号を歌う女」(タイトルでネタバレじゃん!)を学生時代に新宿ローヤルだか新宿西口パレスで観たのが最初。
今回、村を右往左往するのは今泉。眠れない夜に出会った女性は幻だったのか。「バルカン~」に敬意を表しているシーンがいっぱい。ニセ者の女性が出てきたり、ちゃんと指文字も登場します。まあ、オリジナルが「FROY」と名前のスペルを書いたのにくらべ、こちらは温泉場でピンポンをしたときのスコアなのは笑えます。「正」の字がいっぱい(^o^)。
第31話「古畑、歯医者へ行く」につづく。
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