はるか昔のことなら、わたしたちは“既成の事実”として多くのことを受け入れている。真田幸村は戦略の人だし、織田信長は革命児だと(それが真実であるかはまた別問題)。
しかし太平洋戦争という近代に至ると、負け戦であったこともあるにしろ、能力としての日本軍、特に将の質については“敗軍の将”であることだけがクローズアップされて、あまり語られてこなかったのではないか。山本五十六や栗林忠道が有能であったとしても、しかしそれに倍する、いや十倍する無能な将の多さにクラクラくる。
二二六事件の皇道派と統制派の軋轢が影響したと「昭和史」ならこの二人である半藤と保坂は語る。しかしそれ以上に、無能な将がトップに君臨し続けられる体制こそが問題だったのだろう。
名将石原完爾、愚将服部卓四郎と、山形は両極端の軍人を生んでいます☆☆☆★
「昭和の名将と愚将」以外、どれほど類書を読んでいますか。ほとんど読んでいないでしょう。読んでもいず、他人に指針を与えるなど、厚かましい。
たとえば、最近の「秘録・日本国防軍クーデター計画」を読んでごらんなさい。服部卓四郎と辻政信に対する、特に服部に対する詳しい研究が披露されています。読んだだけで、研究の深さがわかります。服部をあまり知らないと言いながら批判している「昭和の名将と愚将」が本当に薄っぺらなものであるとわかります。
まあ、対談ですから、言いっぱなし、責任は取らないよ、と言ってるようなものですが。