事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ジェノサイド」Genocide 高野和明著 角川書店

2011-12-12 | ミステリ

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YouTube: 高野和明『ジェノサイド』公式PV(ラジオドラマ+映像)


ジェノサイド ジェノサイド
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2011-03-30

「このミス、今年の発売日はいつですか?」

近所の書店の親父に。

「えーと(12月)10日だったかなあ」

「じゃ、とりあえずランクイン確実のこれ買っていきます」

「これ、入るかい?」

「絶対ですよ」

もちろん手にとったのは高野和明「ジェノサイド」。

結果は「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリベストテン」ともに第1位。予想が当たったことを自慢しているわけじゃない。誰だってわかる。どう考えても今年は「ジェノサイド」の年。

まずタイトルが周到。大量殺戮を意味するわけだし、舞台がコンゴとくれば伝染病のお話だと読者は想像する。エボラ出血熱がモデルかな、と。

でも、物語は“大量”に“殺戮”するのではなく、“ただひとつの個体”を“救う”経過が中心。それなのになぜジェノサイドを名のっているかがうまいのだ。

『任務遂行中に、見たことがない生き物に遭遇したら、真っ先に殺せ』

という指令がありながら、その生き物を日本に連れてくる展開にはうなった。作戦名ガーディアン(守護天使)はおみごと。

帯には「世界水準!」というフレーズが使ってあって、日本のミステリはとっくに世界水準じゃん、と思ったけれど、時間をかけて綿密に下調べを行い、二転三転するストーリーをユーモアまじりに語る……というスタイルは確かにグローバルスタンダードかも。日本の作家は忙しすぎるからね。

特に、ある目的のためにコンゴに潜入した傭兵たちが、「出アフリカ」したあとに空中戦になる力業は、こりゃディーヴァーっぽい。「コフィン・ダンサー」並みの展開。一気読みしました。おもしれー。

なにより『法律用箋(リーガル・パッド)』『薬になりそうな(ドラッグライク)』なんて単語が物語に自然になじんでいるあたり、つくづくとうまい。

難があるとすれば、アメリカの前政権批判に(完全に首肯するとはいえ)もうひとひねりほしかったところか。ブッシュが使えねー野郎だったのはみんな知ってるしねぇ。

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