「見だが?」
「え?」
「謎の生物。」
「はあ?」
「知らねながヒロシ。布目さ謎の生物いっだな。」
布目(ぬのめ)とは、私の住んでいるチョー田舎。戸数22。そのなかの9軒が育苗組合を組織して、種を蒔いて各戸のハウスに育苗箱を入れるまでを共同で作業している。この日はその打ち上げ。「ひろしくんサウナに入る」の号でご紹介した温泉「ゆうゆう」にみんなで向かった。その、送迎バスでの会話。
「どんだ生き物だなや。」
みな口々に証言する。どうやら目撃していないのは私だけらしい。
「猫でね。」
「犬でもね。」
「タヌギ(狸)でもね。」
「イダチ(イタチ)でもね。」
「顔が三角で。」
「首がなんげぐで(長くて)」
「うん。その首が365度回んなよ。」なんだその余計な5度は。
「目が光て。」
……だんだん化け物じみてくる。結局その生物、否定されていたタヌキのつがいだったらしく、そのうちの1匹は先日かわいそうに交通事故で死亡してしまったのだった。誤解されると困るのだが、田舎とはいえ布目は狐狸の類が出没するほどではなかったのでちょっとびっくり。
それにしてもこの打ち上げ、父親も参加していたが、自分の肉親の前でカラオケを歌うという貴重な経験ができる年に一度の機会。今年はお気に入りの「天体観測」を絶叫したが(情けない四十代)、親父がしみじみと「すさまじー歌もあるもんだ」と年寄り仲間と嘆じていたのにはちょっと反省。
……実は、この話には後日談がある。
画像は「モンスターズ・インク」(‘01 米)
Monsters’ Inc.
ディズニーの、というより製作のピクサー(トイ・ストーリー)の、相変わらずハイレベルなCGアニメ。ちょっとでも似たところがあると“(日本の)○○の影響”と騒ぎ立てるのが日本の芸能ジャーナリズムの悪弊だが、この映画はどうみても宮崎アニメの影響ありあり。主役サリー(ジョン・グッドマンの声がいい感じ)の質感はもろトトロだし、モンスターの世界へ迷い込む女の子が、どうみても東洋人なのもおそらく偶然ではない。が、身びいきで言うのではないけれど、練りに練ったというストーリーは、宮崎のそれに今ふたつぐらい及ばない。本当なら“もっと泣かせ”“もっと笑わせる”ことが出来たはずなのに。CGであることの最大のメリット「何でも描ける」ことが100%活かされているとも思えないし。およそ日本でつくることの出来ない映画であることを充分に認めた上で、ちょっと因縁つけてみました。
オープニングのおまけ短篇と、ラストのNG集は最高☆☆☆★★
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