事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「攪乱者」 石持浅海著 実業之日本社

2010-09-23 | ミステリ

51g0csoiil_sx230_ コードネーム『久米』『輪島』『宮古』のテロリスト三人。彼らは一般人の仮面をかぶりながら、政府転覆をめざすテロ組織の一員である。組織は、暴力や流血によらない方法で現政府への不信感を国民に抱かせようとしていた。彼らに下された任務は、組織が用意したレモン三個をスーパーのレモン売り場に置いてくるなど、一見奇妙なものであった……

いやはや。またしても石持がとんでもないルールを自らに課してしまっています。各章が「檸檬」「一握の砂」「小僧の神様」など名作のタイトルを借りながら(これもひとつのルールだ)、日本におけるテロリストの日常を描く……たとえば「檸檬」だと、本屋ならぬスーパーマーケットに檸檬を置いていく過程が描かれる。その目的とはなにか。

描かれるのは一見ちゃっちい行為の数々。これのどこがテロなのか……なにより読ませるのは石持のあとがきです。

「これを書いているときは、まさか政権交代が現実化するとは思わなかったので」

わはははは。現実が小説を追い抜いた瞬間。でもまさか民主党がこんな手口を使ったわけでは……小沢ならやるか(笑)

ひょっとしたら石持が主張したかったのは、ラストのラストにいたって説明されるひとつの政策だったかも。そのために連作したのだと。それはそれで、ミステリ作家として立派な態度だとは思います。

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