「マツダの」
「ファミリアのね」
と形容する。初めて劇場で拝見して、それも無理ないな、と痛感。なにしろオープニングからして武田鉄矢がファミリアを試乗し、営業店で現金(退職金)を持ち出す場面なのである。ストーリーは
「赤いファミリア(4代目。まだFRの時代)が釧路港から夕張に向かうまでのお話」
と要約できるくらい、ファミリアファミリアファミリアな画面がつづく。70年代当時のマツダはいつ倒産してもおかしくなかったのに、かなり作品にも出資したのだろう、トヨタ車を軽く追い越すなんて場面まである。三十年以上たってもみんなが「幸福の~」=ファミリアと連想してくれるのだから、この出資は正しかったろうし、あの山田洋次も(内心はどうあれ)CMのような画面を淡々とつないでいる。
もとになったのはピート・ハミルの短篇だけど、わたしの世代にとってはドーンの「幸せの黄色いリボン」でおなじみ。だから山田洋次の新作が「幸福の黄色いハンカチ」というタイトルだときいて「うわははは。だっせー」と苦笑してました。
北海道の地元バンド(だろう)が「銀座カンカン娘」を歌っている意味不明な場面もあって、その圧倒的な古くささに唖然。
でもね、これって今見ると、じゃなくて当時から古くさかったはず。寅さん映画に笑いながら、オレってこのベタな展開で笑っていいのかな、と不安になるように、古くさいベタさは山田洋次の持ち味で、説教くさくならない限りは娯楽映画作家として正解かも(気をつかった表現)。
「オレは、人殺しだからな」
という健さんの重みを感じさせ、同時にベタさ回避の機能は桃井かおりが果たしている。
「(あの人は)仕事さがすの、大変だろうね」
というセリフは、優等生な女優が語ったのでは陳腐なだけだったろう。
ひねくれた観客(わたし)は「どうせハンカチが満艦飾にはためくんだよな」と斜に構えて見ていたんだけれど、倍賞千恵子のあの泣き方にはまいった。さくら役をやらせることで、恋愛の演技を封じてしまった罪ほろぼしを山田洋次はここでやっている。ラストだけでも一見の価値あり。
というか、あまりにもファミリアが前面に出ているので、テレビでオンエアできない事情もあるでしょうから(笑)、DVDでどうぞ。
この時の武田鉄也ってナイナイ岡村に激似ですよね。
毎度同じトコで笑って、ラストにポロポロと。。
「遙かなる山の呼び声」もようやく初めて観ましたが
こちらも良かった~! 電車のシーンはボロ泣き。。
下からねめつける感じがそっくり。
たこ八郎の元気な、というか元気すぎる姿が見れたのも
うれしかった。さすが本職、あのパンチは痛そうだったなあ。
実は未練がましいお話なんだけれども、それを
感じさせない工夫は満載。
久しぶりのシャバなのでハガキの代金にも迷ってしまう細かさ。
でもだいじなお話は封書でね、健さん。
びっくりしました。幼児が8人でしたか、それを知ってから、
この映画を見られません。
親がかかわるか、って問題でしょうか。
あるいは、問題じゃないかもしれないけど感情が、とか。
ここはどうやって線を引くか、それぞれの考え方なんでしょうね。
わたしははっきりと“関係ない”です。ホントよ。