デンゼル・ワシントン、ブルース・ウィリスというハリウッドインサイダーのポリティカル&ミリタリーフィクション……というだけならビデオ屋の棚から抜き出すことはなかったかも。
でも監督が「ラストサムライ」「戦火の勇気」のエドワード・ズウィックだし、ヒロインがアネット・ベニングとくれば“つまらないとしても何かある”に違いない。まあ、借りた最大の理由は「名探偵モンク」のトニー・シャロウブが出てたからなんですけど(笑)。
実際、これは今だからこそ見る価値のある作品だ。展開は驚くほど9.11に酷似しており(事件の3年前に製作されているにもかかわらず)、ズウィックの先見の明にびっくり。
その先見の明は、アラブ系のテロリストがニューヨークを破壊する事実以上に、そのテロに対してアメリカ人がどのように対処するかにまで及んでいる。ブッシュという最低の大統領治世下だったことを差し引いても、アメリカの自由がいかに脆いものかを、ニューヨークに戦車が走り回るシーンでこの作品は描いてみせる(製作当時はクリントンだったけどね)。
原題はThe Siege(囲い込み)。戒厳令で完全に陸軍に包囲されたニューヨークの状態。しかし同時に、文字通りマジソン・スクエア・ガーデンに設けられたフェンスに囲い込まれるアラブ系市民、テロリズムという脅威に包囲された超大国の姿も象徴している。借りてよかったー。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます