藤堂高虎という武将については、わたしは好きでも嫌いでもない。豊臣側だったはずだけれどもいつの間にか徳川の重臣になってるし、よくわからないのが正直なところ。
下天を謀る(上)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-11-27
この作品では、秀吉の弟である秀長への尊敬と忠義を語って
「何度も主君を変えた男」
という印象をくつがえそうとしているようだ。家康とのつながりも、死生観がいっしょだった、というきれいごとに終始。
彼が築城の名人だったことは、のこった城が雄弁に語っているので確実。徹底してプラグマティックな人だったのだろう。
戦国随一の諜報組織をもっていたあたりは、高虎を偉人にしたてるために重きをおかれていないのが不自然っちゃ不自然。歴女たちにとって、高虎はどんな存在なのか。
現代の政治家でいえば、田中角栄にひっそりとよりそった大平正芳か、あるいは保身をかけてすり寄っていった中曽根康弘か……
「関ヶ原」で高虎を悪意いっぱいに描いた司馬遼太郎へのアンチとしてこの作品が成功したかは、ちょっと微妙かなあ。
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