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つづいて今井繁三郎美術収蔵館。とんでもないロケーションだと聞かされていたとおり、羽黒の柿畑のど真ん中にある。いつも山形にいくときに広域農道を使って自動車道のあさひICに入るんだけど、そのすぐ近く。考えてみれば「今井繁三郎美術収蔵館→」という看板だけはいつも見ていたのだった。
いやそれにしても、まんま“蔵”なのだ。洋画家の今井(1910~2002)が、存命中に「取り壊しになるんならおれの美術館にする」と移設した享保年間の蔵。
自分の作品を展示すると同時に、自らのコレクションをぶちこんでいる……というか蔵自体が彼(と彼の娘さん)の作品のようになっている。
いっしょに行った人が
「実は今井繁三郎っておれの仲人の従兄弟でよ」
「そ、そうなの?」
「あの人の絵って……うーん、ちょっと見んな覚悟いるよ。晩年になっど、んもう何でもありだんや」(見るのは覚悟がいるよ。晩年になると何でもありなんだ)
変な先入主がありつつも、見渡せば今井の作品は悪くない。というか正直に言うとおれは感動してしまいました。今井の作品は売れないことで有名だったというが、おれは欲しいぞ。
「すごくいいじゃん!」
「あー、これは娘さん(館長をやっている)の意図だな。まだしもわがりやすい絵を選んでるもん」
最晩年の作品は、具象のかけらもなく、見る者を不安にさせるようですらあったという。この日わたしが見た作品群は、確かに悪くいえば“アヴァンギャルドないわさきちひろ”あるいは“トレンドを無視した吉田カツ”だったかもしれない。しかしわたしはマジで感じ入った。
受付に行って
「あの、作品集をください」と購入。
館長さんは本を手渡しながら
「今度はもっと静かなときに来るといいですよ。ぜひ」
「はい、ぜひ」
絶対来る。
次回は「松ヶ岡開墾場」
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