第十六回「大きな国」はこちら。
今回は斎藤道三(本木雅弘)退場の回。息子(伊藤英明)に嫌われ、家臣に離反されて追いつめられて行く。そこで彼がとった行動が、まさしく蝮らしいものだったと。
父を殺す息子と、子に殺される父親の、どちらが哀しいかというお話。オイディプスの時代から、父を殺して母を愛する物語は普遍だけれど、まさしくギリシャ悲劇のように今回はこってり。
オイディプスの父親よりも斎藤道三ははるかに奸計の男。自分は負けるかもしれない、いや負けるだろう。とすれば生きて辱めを甘受することは我慢できない……いやもう一歩進めて自分の死を息子への呪いに持っていくと。
さまざまな策を弄した男が、死んでからは単なる骸になっていることを強調している演出に納得。そして、この骸が企んだことは、娘(川口春奈)を経由して実現していく。
みんな愚か者だ、と嘆ずる帰蝶の黒さは回を追うごとに濃くなっています。そんな帰蝶にしてみれば、勝つ見込みもないのに道三に加勢する光秀(長谷川博己)は愚か者の最たるもの、でも歴史を知っている視聴者は結果的にどちらが正解だったかを承知しているしなあ。
心配した以上の事態になっている。4月はじめからこの大河は撮影されていないのだとか。まもなくストックは尽き、6月から総集篇、そして越年のオンエアになりそう。
でもね、わたしは学校という業界にいるから言えるけど、先のことはなんもわかんないっす。正解を誰も知っていないという意味で、この戦国の登場人物たちと現代はつながっている。無能な殿様であっても、ついていく家来は現代でも40%程度はいるらしいし。あれまー。
第十八回「越前へ」につづく。
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