事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「グラスホッパー」 (2015 松竹=KADOKAWA)

2015-11-14 | 邦画

今年はそれにしても松竹の映画をたくさん観てるなあ。いちばんおいしい企画は東宝にまず持ちこまれる状態が長く続いているけれど、「ソロモンの偽証」「駆込み女と駆出し男」「日本のいちばん長い日」「天空の蜂」を堅調な興行に結びつけた実績は、松竹をなお活気づけさせることになるだろう。映画会社のカラーがきっちり出ているあたり、悪くない。

「グラスホッパー」も松竹(とKADOKAWA)。伊坂幸太郎の、あの原作(角川文庫。すばらしいのでぜひ!)を、なにしろ殺し屋のお話なのでPG-12な残虐描写をまじえながらデートムービーに仕立ててある。主役が生田斗真山田涼介なのでジャニーズファンを逃がすわけにはいかない。

原作とはキャラが少し変えてあって(というかストーリー自体もかなり変えてある)自殺屋の“鯨”が浅野忠信で、ナイフ使いの“蝉”が山田涼介。そして押し屋の“槿(あさがお)”が吉岡秀隆というひねったキャスティング。見せます。

ただし、悪党(石橋蓮司、菜々緒)の側にスケール感がないので、手練れの殺し屋たちのバトルロワイヤルに必然性がいまひとつ感じられないのは残念。

その分、原作にしつこいくらいに出てくる伝説のミュージシャン、ジャック・クリスピンの曲を、ジョン・スペンサーでやっちゃうあたりは映画の強み。

さて、ミステリ映画としてかなりの仕掛けがほどこしてある。主なものだけでも五つ。わたし、ふたつは途中で気づいたんだけど、あとはひっかけられました。原作読んでるのに(笑)。

続篇の「マリアビートル」こそが映画化にぴったりなので(なにしろ東北新幹線のなかの殺し合いですから)この作品にお客さんがもっと入ってくれるとうれしいかな。松竹もきっとうれしいと思います。

あ、主人公の婚約者(いまや朝ドラで人気沸騰の波瑠)は学校の給食調理員。生田斗真と調理室でそういうことをしていてはいけませんよ。学校事務職員に怒られちゃいますよ。

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