事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

最後の喫煙者 1服目

2008-02-03 | 健康・病気

Dsc00024 鶴岡のある中学校に赴任した22才のわたしは、仕事の何たるかもわからず、“職場”というものになじむ能力にも意欲にも欠けていた。
 そのため、時間ができると木造校舎の陰にかくれ、コンクリートに座ってひたすらタバコを吸って時間をつぶしていた。
 21年後、43才のわたしがまさか同じような境遇に陥るとは……

 酒田市立の小中高校の校地内全面禁煙への動きを初めて知ったのは、2003年3月のある交渉の日。臨む前に教育委員会の入っているビルの1階でタバコを吸っていると、ある職員も灰皿を求めてやってきて……
「何か、変な計画あるらしいよ」
「?」
「学校、禁煙にするらしい」
「うーん、そうきたか。」フロア全面禁煙、喫煙を理由としたフロア移動禁止など、子ども相手かと思えるような方針を打ちだしている県教委の動きと連動していることは間違いない。
「あくまで、計画らしいけどさ。」

 交渉課題の話をすべて終え、雑談という形式でやたらに危ない話をするなかで、課長からこの禁煙計画の話も持ち出された。
「どうかな」
「あのね、ひとこと言っておきたいのは、この禁煙ってことについて、ファナティックになっているのは実はアメリカだけってことですよ。ヨーロッパはさすがにもっとオトナの対応しているらしいけどなあ。」

Manbo01bw しかし労働組合として、この計画には反対しづらい。女性部向けに分煙云々を議案書に挿入したりもしたし。本部の執行委員長はヘビースモーカーだったくせに“委員長になったことをきっかけに”タバコをすっぱりとやめた男であり(会うたびに「まーだそんなものを吸ってんのか」とわたしを馬鹿にしている)、支部書記長は、わたしが書記局に入っていくと同時に空気清浄機のスイッチを入れてくださる。

……愚痴がすぎるようだが、喫煙者が滅びゆく種族であることは重々承知している。筒井康隆の「最後の喫煙者」の世界が、もう現実のものとなろうとしているわけだ。

 さて、校地内全面禁煙は8月1日より実施。日頃はシブチンな市教委も、このことに関しては周知のために看板だのポスターだのをこれでもかと配給してくる。勝手にことをすすめやがって、と反発をくった某先進校(笑)の反省もあるのだろう。

反響も大きい。
「あれ、本気だんが?」
「おめがだ、どごで吸うなや?」こんなことウチの学校のPTAである市会議員がきいてくるのである。
いーことだよなぁ、という声はひとつも聞こえてこない。ま、そちらにはわたしは耳を閉ざしているわけだが。

 抜け道だけはたーくさん考えた。
①高校生のようにトイレで吸う。
②隣が市営体育館なので、管理人と仲良くなってロビーで吸わせてもらう。
マイカーはプライヴェートな空間であるとの屁理屈で(ま、大使館的に治外法権だと)、ひたすら個的に運転席で吸う。
……たばこをやめる、という選択肢が出てこないところが泣かせる。

Kg_kawauso01 しかし現実はやはりなかなか厳しい。通用門や市営体育館で時間をつぶしていれば、最初はいいけれど(「たいへんですねー」と保護者たちは同情してくれている。思いきり笑いながら)、しかし度重なれば『税金泥棒』とのそしりは免れまい。第一、もう雪が降り始めた……。

以下次号。

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