テレビ東京の「ドラマ24」といえば、「勇者ヨシヒコ」「モテキ」「まほろ駅前番外地」などの傑作を連発した枠。そこで「湯けむりスナイパー」以来、久しぶりに漫画原作ひじかた憂峰(狩撫麻礼のことです)と演出大根仁(おおねひとし)がタッグを組み、主演がオダギリジョーだってんだから見逃す手はない。あれ?でもディスカスではあまりレンタル希望がないみたい。ちょっと不安。
いやはやすばらしいドラマでした。
EGO-WRAPPINのオープニングからして快調。どんな依頼人がくるか、予知夢で知ってしまう私立探偵(オダギリ)、謎の所長に石橋蓮司、いけいけボディで能天気な受付嬢メグミ(小泉麻耶)の三人だけの探偵社に、毎回いわくありげな依頼が飛び込んでくる。
たとえば「ある結婚」というエピソードはこんな感じだ。
もう若くはないデリヘル嬢。チェンジがくりかえされる日々。しかし一流会社につとめるサラリーマンは彼女を常に指名する。彼のリクエストはセックスではなく、普通の日常を共に過ごすことだった。彼からプロポーズをうけたデリヘル嬢は、大川端探偵社を訪れ、その理由をさぐってほしいと依頼する。
このオチはなかなかに泣かせます。ひねりすぎていないところがいい。
他にも「夏の雪女」(これもラストがすばらしい)、「もらい乳」など、大人だから泣ける話がてんこ盛りだ。
東京の東側、浅草近くの隅田川沿いという設定が、人情噺に効いてくる。
オダギリジョーは、久しぶりに完璧な色男を演じているし、大根演出も渋い色調で突っ走っている。大根監督作品をもっと見たいなあ……え、「バクマン」の監督って大根だったの!?映画館に急がなくっちゃ!