この週末、「アメリカン・スナイパー」を観に行けそうにないのでこちらをアップ。
クリント・イーストウッドの西部劇といえば、初期のマカロニ・ウェスタン(「荒野の用心棒」「続・夕陽のガンマン」)や、米国にもどり自ら監督するようになってからの「荒野のストレンジャー」(いまやカルトあつかい)、「ペイルライダー」、そして渡辺謙でリメイクされた「許されざる者」が有名で、かつ文句なく傑作ぞろいだ。
でもわたし、彼のベストウェスタンはこの「アウトロー」The Outlaw Josey Walesではないかと思う。ストーリーはひたすらシンプルで、時は南北戦争後期、野盗(北軍所属)に妻子を殺された農夫ジョージー(イーストウッド)が、南軍の別動隊に加わり、復讐に走る。しかし、北軍の奸計によって味方を全滅させられたジョージーは、ひとりのアウトローとして敵をなぎ倒していく。
という具合で、体裁は確かに西部劇なのだけれど、監督イーストウッドの余裕のようなものが、作品を活劇から逸脱させていく。
死を覚悟して敵に向かっていくのだから、主人公には孤高のたたずまいがある。ところが、ネイティブ・アメリカン(なつかしのチーフ・ダン・ジョージ)や、南軍を敵視している母と娘(この作品でイーストウッドとできてしまったソンドラ・ロック)などと、どんどんファミリーを形成していく!このあたりで当初予定されていた監督のフィリップ・カウフマンともめたのかなと想像したりもします。
意外なほどハードなレイプシーンがあったり、南北戦争の裏面史としても相当に面白い。なにより、イーストウッドがもっとも味わいのあるルックスをしている時期(46才)なので、観ているだけで幸せな気分になれる。髪もたっぷりありますし。ベストウェスタンにあげる理由は、まずはそこなんです。すみません。この作品のソンドラ・ロックはひたすらかわいいしね。すみません。