事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

イーストウッド三昧

2008-11-03 | 芸能ネタ

Eastwood02 クリント・イーストウッドが苦労人なのはよく知られている。若い頃になかなか芽が出ず、イタリアに“都落ち”してB級ウエスタンに主演。生活のためとはいえ、プライドはかなり傷ついただろう。

 ところが、金のために出演したその映画「荒野の用心棒」(原題が『一握りのドルのために』なのは皮肉)は、極東の島国、日本の映画「用心棒」(黒澤明)をパクったお手軽企画だったはず(「用心棒」自体もダシール・ハメットのハードボイルドの翻案)なのに、意外なほどの傑作。しかも全世界で大ヒット。このあたりから、イーストウッドに運は向いてきた。

 アメリカに戻って快作「マンハッタン無宿」(大好き)でスマッシュヒット。続いて、最初はジョン・ウェインにオファーされていた暴力刑事もの「ダーティハリー」でホームランをかっ飛ばす。以降の活躍はご存じのとおり。あまりにハリー・キャラハン役がはまりすぎて暴力賛美主義者のレッテルを貼られ、これは近年までイーストウッドにつきまとったほどだ。

 自他共に認める彼の最大の幸運は、節目の時期に「荒野の~」でセルジオ・レオーネ、「ダーティハリー」でドン・シーゲルとの出会いがあったこと。ふたりの“巨匠”、というより娯楽映画づくりの“達人”に仕込まれたことで監督業への意欲がたぎってくる。

 で、ここからが意外なんだけど、彼が監督する作品は、驚くほど“作家の映画”なのだった。「恐怖のメロディ」「白い肌の異常な夜」「荒野のストレンジャー」……ダーティハリーのようなキレのいい娯楽作を期待する観客を裏切りつつ、映画監督クリント・イーストウッドの名は次第に評価されていく。彼が主宰する製作プロダクション「マルパソ・カンパニー」の資金繰りのためか、おなじみ暴力路線やダーティハリーの続篇などで稼ぎつつ、かたわらで「ペイルライダー」「許されざる者」「スペースカウボーイ」と傑作を連発している。しかもきちんとイーストウッドのマークが刻印された“作家の映画”として。

 そしてなお年齢を重ね、「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」……もはやイーストウッドが撮る映画は、彼が「アクション!」と告げれば、自然に傑作として生まれ出るかのようだ。

 彼ももう78才。あと何本撮れるかはわからないが、少なくとも現在の、孤高のイーストウッドと同時代に生きていられることが、わたしたちにとっての幸運なのだと思う。さて、次号からは作品を個別にいくつか観ていきましょう。

次回は「荒野の用心棒

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2 コメント

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今夜9時からBS-TBSで (みこ)
2020-05-02 19:39:01
「荒野の用心棒」してくれますね.楽しみです♪
「吹き替えを録画できる!」と舞い上がってます.

ご存じかもしれませんが,明日は「伊賀忍法帖」
あさってはNHKで「未来少年コナン」再放送,
NHKーBSで21時から「セーラー服と機関銃」も.
盛り沢山ウィークですね.

コナンはDVD持ってますけど録画もします♪
これって…… (hori)
2020-05-02 20:42:42
コロナがらみでしょうがないってことも
あるじゃないですか(笑)
でもつくづく思いますよ。たとえ商売に
ならなくても、地上波だって再放送せざるを
えない状況かな。
あるいは、ここで新しいテレビのスタイルが
確立できる可能性だってある。
楽観的すぎますけど(>_<)

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