レジ係篇はこちら。
わたしが知り合った職業人に、その道の極意をうかがう(与太話に終始してしまいますけど)ハローワークシリーズも49才篇に突入。今回はすごいですよ。わたしの世代にとっては超有名人ですから。
ある飲みの席で
「知ってる?あの○○さんてさ、むかし東京ボンバーズのメンバーだったんだって。」
と知り合いが小声で。
「ふぅぅん………………な、なにーっ!」
○○さんは気になる人だったのだ。スキンヘッドで、ガタイもよく、なにより話が面白い。んもう最初からキャラ立ちまくり。
東京ボンバーズとは、おおげさではなく一世を風靡したローラーゲームのチーム名。ローラースケートを履いた日米のプレイヤーが疾走しながら肉弾戦を演じる、まことにテレビ向きのスポーツ。特に佐々木ヨーコというお転婆娘が人気爆発。60年代末から70年代初めにかけて、東京12チャンネル随一の人気番組に成長したのだ。こっちでは土曜の午後のオンエアだったと思う。そんな人気者の一員が、こんな田舎でクルマの整備工場を経営しているのだ。
「○○さぁん」
ここはぜひともお話をうかがわなくては。
「東京ボンバーズにいたってホントですか?」
最初はごまかそうとしていた○○さんも、わたしの“つぶらな瞳で無邪気に質問する”攻撃に耐えかねてか(実はしゃべりたかったのかも)、当時の思い出を語る。
「おれはさ、アイスホッケーをやってたわけ。でもリーグの1部と2部を行ったり来たりでさ。なんかこのままじゃなあ、と思ってたときに(ボンバーズの)募集があったんだよ。場所は後楽園だったのは知ってるだろ?まあ、人気があったといってもさぁ、時代の徒花だったというか……。ヨーコにしても、その辺にいたスケートの上手な子のなかからたまたま選ばれただけなんだよ」
としみじみする○○さんに、しかしまわりの連中はこれだけはきいておかなくては、と意気込む。
「で、それでヨーコはいま何をしてるんですかっ!」
「知らね」そ、そんなぁ。
次回は「客室係」