ホームメイド・ケフィアを好きな方のために

ホームメイド・ケフィアをこれから始めたい方、すでに始めている方のブログです。ケフィアについての感想や質問をお書き下さい。

ケフィアの話(5)

2006年08月17日 19時29分38秒 | Weblog
          スイスのトニー乳業のケフィア
(前回の続き)ケフィアはコーカサスの伝統的発酵乳であるとお話しましたが、少し話題を転じて、ホームメイド・ケフィア開発の経緯についてお話します。

話は25年も遡りますが、当時私はある中堅の発酵乳メーカーの研究開発部門を主宰していましたが、そこで開発したドリンクヨーグルトが大ヒットしました。当時はヨーグルトと言えばスプーンですくって食べる固形状でしたが、ストローで飲める液状のヨーグルトは、私達が発売した「のむヨーグルト」が日本で最初でした。その会社は自ら開発した新製品を同業他社のPB製品として売り込むことによって、市場規模を形成すると言う営業戦略をとっていましたので、「のむヨーグルト」の委託生産の依頼が殺到しました。一時はわが国で販売されていたドリンクヨーグルトの殆どを私達の工場で製造していたと言っても過言ではないと思います。しかし、ドリンクヨーグルトの人気が定着すると、乳業会社は外注から内製に切り替える可能性があり、生産規模が増大した絶好調の時こそ最大の危機を孕んでいると言えます。

そこで、私はドリンクヨーグルトの次の新製品を開発するためのヒントを探るために、ヨーロッパのヨーグルト市場を視察しました。
最初に訪れたスイスのトニー乳業で、私はケフィアの新発売キャンペーンに遭遇しました。トニー乳業のインストラクターによると、ヨーロッパではヨーグルト市場は飽和状態であり、エキゾチックなオリエンタルムードのあるケフィアによって停滞しているヨーグルト市場を活性化したいとのことでした。試食させていただいた新製品のケフィアは、酵母の作る炭酸ガスの爽やかな刺激を感じ、確かにヨーグルトより新鮮に感じました。

実は、私にはケフィアはまったくの新知見と言うわけではありません。カルピスの創業者三島海雲氏はシルクロードを旅したとき、乳酸菌と酵母で醗酵させた(ケフィアに類似した)発酵乳を飲んだ体験から、これを日本で生産することを試みて開発したのがカルピスであると聞いていました。しかし酵母の作る炭酸ガスをコントロールすることが困難であったために砂糖を加えて加熱殺菌することによって、製品を安定化させたと聞いていましたので、ケフィアは殺菌しなければ製品化できないと思っていました。したがって酵母の生きているケフィアは日本の乳業技術者にとって幻の発酵乳であったわけです。それだけにトニー乳業で試食させていただいた炭酸ガスの刺激のあるケフィア(酵母の生きているケフィア)は驚きでした。

その後、チューリッヒ市内のスーパーマーケットを見て回りましたが、ヨーグルト売り場でケフィアはかなりのスペースを占めていました。
次に、ドイツのケルンで開かれていた世界最大規模といわれる食品見本市「アヌーガ‘81」でも、ケフィアが各社から新製品として出展されていました。
ドイツのスーパーマーケットでも、ケフィアは新製品としてなかなかの評判でありヨーグルトを凌駕する勢いで並んでいました。

それを見て、私はドリンクヨーグルトの次の開発ターゲットはケフィアだと確信をして帰国の途につきました。(次回に続く)
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