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乳酸菌学会設立20周年記念シンポジュウム

2010年11月22日 16時46分30秒 | Weblog
2010年11月19日(金)20日(土)の2日間、北里大学薬学部コンベンションホールにおいて、乳酸菌学会設立20周年記念シンポジュウムが開催されました。

私は乳酸菌研究集談会として発足した当初から参加していますが、20周年を迎え参加者の人数の増加、研究発表の内容の充実に感慨を覚えます。それは乳酸菌の健康効果に対する社会的ニーズの高まりと遺伝子工学の発展によるのだろうと思います。

「進展する乳酸菌研究-今後の応用と可能性を探る-」とタイトルを掲げたシンポジュウムの講演内容を次に示します。
11月19日:「乳酸菌研究の現状と将来展望」
○アジア諸国の乳酸菌研究について:祭英傑(台湾・陽明大学)
○欧州の乳酸菌研究とオミックス研究:Oscar P.Kuiper(オランダ フローニンゲン大学)
○メタゲノミクス・腸内細菌研究のフロンティア:服部正平(東京大学)
○腸内細菌による免疫系制御:本田賢也(東京大学)
○母乳によるビフィズス菌増殖の分子機構:北岡本光(農研機構 食品総合研究所)
○プロバイオティクスの歴史と進化:光岡知足(東京大学名誉教授)
11月20日:「乳酸菌・ビフィズス菌の新しい研究と応用」
○乳酸菌およびビフィズス菌の新しい分類・同定:渡辺幸一(ヤクルト本社中央研究所)
○腸内細菌・乳酸菌の胆汁酸ストレス研究:横田篤(北海道大学)
○乳酸菌による物質生産:園元謙二(九州大学)
○腸内フローラ研究の目指すところは:伊藤喜久治(東京大学)
○機能性食品の世界的動向と欧州の規制:Alwine F.M.kardinaal(オランダTNO)
○健康食品・特定保健食品の動向と課題(消費者庁政策調整課)
○食品による免疫調節に関する研究の今後:清水誠(東京大学)
○医薬分野への応用の可能性:五十君静信(国立医薬品食品衛生研究所)

シンポジュウムの中から、ブログの読者に興味を持たれそうなトピックスを、次に紹介します。
○服部先生のメタゲノミクスから:マウスでの実験によると、病原性大腸菌O157は、ある種のビフィズス菌で殺菌できた。その原因はビフィズス菌の作る酢酸によることがわかった。
○本田先生の腸内細菌による免疫制御から:アレルギーの発症とTh1、Th2バランスがよく知られているが、それだけでは説明できない。Tregもアレルギーに関連することがわかった。Tregは腸内にクロストリジュウム菌が存在することにより誘導され、Tregがアレルギーを抑制する。
○伊藤先生の腸内細菌叢研究の最新動向から:腸内細菌は肥満と関係するという研究論文が今年報告されたが、今年の最もセンセーショナルなトピックです。肥満の人の腸内細菌叢を正常な人に移植すると正常な人が肥満になる。

【シンポジュウムを聴講した感想】従来、クロストリジュウム菌は悪玉菌とされていましたが、免疫を増強するといわれると悪玉菌、善玉菌の仕分けも一筋縄ではいかなくなりますね。肥満の原因は腸内細菌にあるという話題は伊藤先生の他に服部先生も話されました。腸内細菌は免疫を支配するということはかなりの信頼性が持たれるようになってきましたが、肥満にも関係するとなると今後の乳酸菌・腸内細菌の研究がますます注目されるようになるだろうと思います。
コメント
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