ケフィアはドリンク？？？

最近、ホームメイド・ケフィアを買った方から「牛乳が固まるのですけど？」という質問を受けました。どうも某社のテレビＣＭを見て、ケフィアはドリンクというイメージが広がっているようです。ホームメイド・ケフィアを買って牛乳を発酵させてみると、牛乳が固まる？、おかしいなと思ったようです。

疑問にお答えします。
牛乳をケフィア菌で発酵すると、牛乳が固まります。この固まりが出来ることをカードの形成といい、ケフィアが発酵できたかどうかの目安になります。ケフィアドリンクは、ケフィアのカードを攪拌して液状にすることによってつくります。牛乳を発酵するとケフィアドリンクになるのではなく、最初にケフィアありきです。ケフィアとケフィアドリンクの説明はホームページを参考にしてください。

牛乳パックでケフィアを発酵させると、牛乳パックの中でカードが出来ます（牛乳が固まります）。牛乳パックの口をしっかり押さえて、発酵させたケフィアをガシャガシャと振ると、カードが崩れてシャブシャブになります。こうして液状になったケフィアがケフィアドリンクです。

昔、私自身同じことを考えたことがありました。私が研究所長をしていたヨーグルトメーカーで、日本で最初のドリンクヨーグルトを発売したのですが、当時私は牛乳を乳酸発酵しても牛乳が固まらない（カードが出来ない）発酵法の開発を試みていました。つまり固まらないヨーグルトを作ろうと思っていたのですが成功しませんでした。結局乳酸発酵によって出来たカードを崩して液状にしてドリンクヨーグルトを発売したのでしたが、ヨーグルトのカードを崩して液状に保つことはそれなりに技術開発をしなければなりませんでした。ヨーグルトのカードを崩すと微細なカードが沈殿して、スーパーに並べて販売しているうちに、ホエーとカードが分離してしまうのです。実験を繰り返して沈殿を防ぐことに成功し、発売にこぎつけたのですが、当時の市場にはハードタイプヨーグルトしかありませんでしたから、ドリンクヨーグルトは大ヒット商品になりました。
ホームメイド・ケフィアの購入者の質問を聞いて、３０年以上も昔のことになりますがドリンクヨーグルト開発当時の苦労を懐かしく思い出しています。