ホームメイド・ケフィアを好きな方のために

ホームメイド・ケフィアをこれから始めたい方、すでに始めている方のブログです。ケフィアについての感想や質問をお書き下さい。

ケフィアの話(19)

2006年11月29日 17時58分56秒 | Weblog
(前回の続き)ここらでコンペティター(ライバル)について述べておかなければならないと思います。お客さんから新聞広告で見ましたが同じものですかという電話をよくいただきます。その広告文を見るとホームメイド・ケフィアのコンセプトとそっくり同じですから、お客様の間違われるのも当然だろうと思います。過去2回のブームすなわち「ヨーグルトきのこ」と「カスピ海ヨーグルト」もホームメイド・ケフィアの販売に大きな影響がありましたが、この新聞広告の影響はその比ではありません。その広告によると小学校の先生をしていた女性がケフィアヨーグルト(彼女達はそのように呼んでいます)に出会い、そのおいしさに魅せられて普及活動を始めたと書いています。

 大手スーパー(GMS)からホームメイド・ケフィアの発注があり、応じ切れないと判断してお断りしたことは前に述べましたが、大手スーパーとヨーグルトで取引のあった乳業会社が同じ注文を受けて、カナダの乳酸菌製造会社(ローゼル社とは別)から、ホームメイド・ケフィアと類似のケフィア菌を輸入したらしいのですが、「ヨーグルトきのこの素」と言う商品名で発売してまもなく「ヨーグルトきのこ」ブームが終息して、結局大量の在庫を抱えてしまったようです。

 彼女が出会ったのはこの「ヨーグルトきのこの素」であったようです。最近まで新聞広告で発売10周年記念と宣伝していましたが、ホームメイド・ケフィアは発売から15年、大手スーパーの注文を断ってから11年ですから、時期的にも乳業会社が大手スーパーでの販売が中止された時期と符合しています。最近の情報に寄れば乳業会社からの仕入をやめ、直接カナダから輸入しているようです。

 新聞広告を見ると「牛乳パックで種菌を使い切りにする」「牛乳パックに巻きつけて温度を管理する」コンセプトは独自に考案したかのように書いていますが、このコンセプトはホームメイド・ケフィアとそっくり同じです。牛乳パックに巻きつけて温度管理する器具にいたっては、弊社のケフィアサポーターを開発した同じ電器メーカーから仕入れたものです(現在は中国製?)。
 自由経済社会ですから類似商品の販売を差し止めることは難しいが、商品コンセプトがそっくり同じ商品を大量の宣伝広告によって、しかもダンピング価格によって販売することは許されるとは思いません。不当競争防止法に抵触することは間違いありません。
 
 ホームメイド・ケフィアは、発売以来15年間お客様の紹介によるクチコミ販売が主であり、宣伝費を抑えて利益をお客様に還元するように努めてきました。1面全部を使った新聞広告を出せるほど儲かる商品ではありません。しかし、コンペティターは新聞広告からテレビコマーシャルまで大量の宣伝広告費をかけて販売しています。この広告宣伝がケフィア市場を牽引して来た面も否めませんが、当然どこかに無理がかかっているはずです。
 私の心配はホームメイド・ケフィアとの競合よりもむしろこのような無理な宣伝活動が行き詰まったとき、ケフィア市場全体に対する消費者の信頼が失われてしまわないかと言うことです。(次回に続く)
 
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ケフィアの話(18)

2006年11月20日 20時15分04秒 | Weblog
(前回の続き)ホームメイド・ケフィアは平成5年頃の「ヨーグルトきのこ」ブーム、平成14~15年頃の「カスピ海ヨーグルト」ブームと2回のブームにみまわれたことは前に述べました。これらのブームがケフィアの普及の追い風になった面も否めませんが、逆に消費者の間に衛生知識を軽んずる傾向をもたらし、ホームメイド・ケフィアの普及には大変な妨げになりました。「ヨーグルトきのこ」のブームは比較的早く終息しましたが、「カスピ海ヨーグルト」の方は京都大学のお墨付きがあるかのような誤解が広まりなかなか根強いものがあります。

 古代の日本に乳牛がもたらされていたのに乳利用文化が定着しなかったのは、日本の気候風土がコーカサスのように牛乳の自然発酵に適していなかったためであると最初にお話しましたが、「ヨーグルトきのこ」ブームや「カスピ海ヨーグルト」ブームを見ると、歴史の教訓が生きていないように思います。人間はなかなか進歩しないものですね。

 私は「ホームメイド・ケフィア」の普及をライフワークと考えるようになったのは、次の2つの科学技術の進歩があったからです。
1) 牛乳の殺菌技術の進歩による紙パック牛乳の普及。
2) 微生物培養技術の進歩による高活性ケフィア菌の開発
この2つの条件が揃って、初めて誰でも安心して家庭で牛乳を醗酵させてケフィアを作ることが出来るのです。

 何回も使い回しされた種菌は途中で変異する可能性があり、それによって予想外の事態が起きないとも限りません。衛生知識の軽視によって万一事故が起きるようなことがあれば、折角芽生えかけたわが国の乳利用文化が立ち枯れになってしまいます。
牛乳の醗酵は必ず科学的に管理された乳酸菌カルチャーを使うようにして下さい。(次回に続く)

 
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ケフィアの話(17)

2006年11月06日 22時02分35秒 | Weblog
(前回の続き)ケフィアに関連して、「ヨーグルトきのこ」のブームについて述べましたので、「カスピ海ヨーグルト」のブームについても述べておかなければならないと思います。
 「カスピ海ヨーグルト」のブームは4~5年前のことですから、皆さんもまだ覚えておられることと思います。
 コーカサスのケフィア粒を持ち込まれたらしい「ヨーグルトきのこ」はまだしも、「カスピ海ヨーグルト」に至っては由来はさっぱりわかっていません。世間では元京都大学教授の家森先生がグルジアから持ち帰ったと伝わっていますが、当の家森先生はご自分の著書「カスピ海ヨーグルトの真実」(株式会社法研、平成14年9月16日発行)の中で、「カスピ海ヨーグルトは出どころがはっきりしないだけに、どれが本家本元かはっきりしません」、「その後のヨーグルトの広がりは、もはや私自身の思惑を超えたものになっています。実を言えば、私がカスピ海ヨーグルトについて知ったのも本当に最近、今年の春頃のことでした」、「おまけに『カスピ海ヨーグルト』という名前までついているではありませんか、コーカサスはカスピ海と黒海にはさまれた地域ですが、グルジアは黒海に接していてもカスピ海に接していません。ですから正確にいうなら黒海ヨーグルトになるわけで、『家森さんが持ち帰った』といわれると、そんな食い違いも気になって、なんとなく落ち着かない気持ちになってしまいます」と述べています。
 家森先生は、同書の中で「グルジアはコーカサスの南部にあたりますが、北部の地方ではケフィアというヨーグルトを食べています」と書いておられるようにご自身は「カスピ海ヨーグルト」とケフィアをはっきり区別しておられますが、世間一般の人々はその区別が曖昧なようで、「カスピ海ヨーグルト」のブームになってからは、弊社の「ホームメイド・ケフィア」も醗酵させたケフィアの一部を残して新しい牛乳を加えて発酵させる、いわゆるケフィア菌の使い回しをする人が増え困りました。
 弊社では「新しい牛乳に新しいケフィア菌を加えて発酵させて下さい。ケフィア菌は植え継ぎをしないで1回ずつ使いきりにして下さい。」と説明しているのですが、「ヨーグルトきのこ」や「カスピ海ヨーグルト」のように人の手から手に渡って拡がっている種菌で、牛乳を発酵させて、万一事故でも起これば、「ホームメイド・ケフィア」の普及の妨げになるばかりでなく、公衆衛生上も大変困った問題でした。
 家森先生もこの点は心配されていたらしく「ヨーグルトが手渡しで全国に広がっているのなら、できるだけ間違いがおこらないように応援したいではありませんか。実を言えば、この本を書いてもいいかも知れないと思ったのは、そんなささやかな責任感に背中を押されてのことでした。」と述べています。
 家森先生も述べておられるようにコーカサスの山地で食べられている発酵乳はケフィアと呼ばれていますが、コーカサスの南部グルジアで食べられている発酵乳はマットニと呼ばれています。しかしマットニは「カスピ海ヨーグルト」のように糸を引くような性質はありません。糸を引くような粘りは、むしろスカンジナビア半島の伝統的な発酵乳ビリやロングミルクなどに近いように思います。(次回に続く)
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