日本農芸化学会の2006年度大会が、京都女子大学で3月25日から4日間開催されましたので、26日、27日の2日間一般講演を聴講しました。
その中でホームメイド・ケフィアに関連すると思われる幾つかの講演を紹介します。
○発酵性乳製品由来の酵母菌体成分がマウス由来培養脾臓細胞のIgE産生に及ぼす影響(北大院農、岩瀬他)
乳酸菌に関する免疫機能の研究報告が多い中で、演者は酵母の免疫機能について研究され、乳酸菌と同等のIgE抑制効果があり、Th1/Th2バランスをTh1優勢に誘導したと報告されました。ホームメイド・ケフィアは乳酸菌と酵母の複合発酵乳ですので、乳酸菌については弊社も大阪大学の委託研究により
アレルギー抑制の可能性を確認していますが、酵母についても同様の効果が示唆されたことは重要です。
○アトピー性皮膚炎モデルマウスにおけるモンゴル発酵乳由来乳酸菌の抗アレルギー作用(信州大、林他)
モンゴルの発酵乳もケフィアと同じ乳酸菌・酵母複合発酵ですが、その発酵乳から分離された乳酸菌は血中IgE濃度を下げる効果があり、モデルマウスの皮膚炎を改善出来たという報告は興味深い。
○Matsoni由来分離乳酸菌株のマクロファージ活性促進作用(協同乳業、木全他)
Matsoniはケフィアと同様にコーカサス地方で飲まれている発酵乳ですが、乳酸菌の種類がケフィアよりもむしろヨーグルトに近いことは興味深い、さらにこの発酵乳のマクロファージ賦活効果は乳酸菌体のみでなく発酵乳(発酵生産物)にもあると報告していたことは重要です。
○ケフィアグレインのマウス経口投与によって修飾される免疫応答について(日大生資科・食科工、高知尾他)
ケフィアグレインはケフィアを発酵させる乳酸菌と酵母から出来ている塊ですが、演者らは乳酸菌、酵母を分離せず、そのままマウスに食べさせて、免疫応答を調べ、Th1/Th2バランスをTh1優勢に誘導し、NK活性も高くなり、全身免疫機能が高まると報告していました。
このようにケフィアに関連する研究が盛んに行われるようになり、ケフィアの健康価値の科学的証明が進んでいることは、ケフィアの普及のために大変心強いことです。
これらの講演の他にも、乳酸菌の免疫賦活作用に関する数多くの研究報告があり、講演会場が熱気に溢れ、会場に入りきれない聴講者が廊下にまで列をなしていました。