ホームメイド・ケフィアを好きな方のために

ホームメイド・ケフィアをこれから始めたい方、すでに始めている方のブログです。ケフィアについての感想や質問をお書き下さい。

第16回腸内細菌学会を聴講して

2012年06月16日 15時36分33秒 | Weblog
日本ビフィズス菌センター主催の第16回腸内細菌学会が平成24年6月14日(木)、15日(金)の両日、神戸市産業振興センター「ハーバーホール」で開催されました。
本年度のテーマーは『腸内細菌学における“コロンブスの卵”-先駆的着想と人材育成にむけて-』と定めて、若い研究者の発掘と発表の場の提供を目的としていた。
従って、一般研究発表では腸内細菌にかかわる若手の研究者の発表が41題もあり、なかなか盛況でした。

また次世代研究者と研究課題発掘のために次のテーマでシンポジウムも持たれました。
シンポジウムⅠ「先駆的人材育成のために」
シンポジウムⅡ「先駆的着想にむけた腸内オミックスの新展開」

その他に特別講演と海外から招聘した講師による特別講演が行われました。
特別講演
若き日の回想~創造の喜び~」:光岡知足(東京大学名誉教授、前日本ビフィズス菌センター理事長)
海外特別講演
CD1-NKT Interactions in Mucosal Immunity:Richadrd S. Blumberg (M.D.,Professor of Medicine,Harvard Medical School, USA)

日本ビフィズス菌センターでは、毎年腸内細菌学分野で優れた研究業績を上げた研究者を選んで奨励賞を授与していますが、今年も次の研究者が受賞し、受賞講演が行われました。
受賞講演Ⅰ
整腸作用を介したビフィズス菌の生理作用:小田巻俊孝(森永乳業(株)食品基盤研究所)
受賞講演Ⅱ
腸内エコシステムの理解に向けたマルチオーミクス解析技術の構築:福田真嗣(独立行政法人理化学研究所免疫.アレルギー科学総合研究センター)
これらの受賞講演は最新の知見が得られる興味深い内容であったので簡単に紹介しておきます。
前者はビフィズス菌(Bifidobacterium longumBB536)のスギ花粉の花粉症軽減作用に関するメカニズムの解明に関する研究です。
花粉症に罹患すると結果として腸内でBacteroides fragiris グループが増えてくるが、その中のBacteroides fragilisとBacteroides intestinalisが増えると、スギ花粉症特異的IgEが増える。すなわち花粉症はBacteroides fragiris グループの悪循環によって増悪することになる。ビフィズス菌はこのBacteroides fragiris グループを抑制することによって間接的に花粉症を予防している。
後者はビフィズス菌(Bifidobacterium longum)が病原性大腸菌O157の感染から生体を守るという研究である。
病原性大腸菌O157に感染したマウスは数日で死亡するが、ビフィズス菌と病原性大腸菌O157を同時に与えたマウスは死亡しなかった。その原因はビフィズス菌が酢酸を作るためであった。酢酸の生成をする遺伝子を取り除いたビフィズス菌を病原性大腸菌O157と同時に与えたマウスの死亡を防げなかった。この研究はアメリカの科学雑誌Netureに掲載され、プロバイオティクスの効果が広く認識されることになった。

我田引水になりますが、弊社の“プロバイオティクスGBN1”や“ケフィアプラス”にもビフィズス菌を含有しており、また“ホームメイド・ケフィア”を食べると腸内でビフィズス菌が増えることがわかっているので、花粉症や病原性大腸菌O157に対するビフィズス菌の効果がこのように解明されたことは、プロバイオティクスの信頼性が高まり素晴らしいことです。
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プロバイオティクスシンポジウム’12を聴講して

2012年06月09日 17時00分44秒 | Weblog
昨日(平成24年6月8日)、ホテルオークラに於いて、日本プロバイオティクス学会主催の第15回記念国際シンポジウムが開催されました。
海外からも講演者を招聘して講演が行われ、プロバイオティクスの先端的研究の現状を知る良い機会でした。

下記の講演が行われましたので、演題を列挙します。
【特別講演】
○Intesuteinal Microbiota,Probiotcs and Health:curerent Knowledge and future perspectives.
Prof. Seppo Salminen(University of Turku,Finland)
○Challenge of Current Helicobacter pylori Therapies.
Prof. Francis Megraud(Universite Bordeaux Segalen, France)
○Effects of the Gut Microbiom on the Enteric and Central Nervous Systems.
Prof. John Bienenstock(The McMaster Brain-Body, Canada)
○Genomics of Human Microbiom Using Next-Generation Sequencers.
服部正平教授(東京大学)
【一般講演】
○乳酸菌のインフルエンザ感染防御効果
 竹田和由准教授(順天堂大学)
○H.pylori感染症除去療法におけるプロバイオティクス摂取の効果について
 高木敦司教授(東海大学)
○胃常在細菌としての乳酸桿菌/H.pyloriの胃生理機能発達における役割
 古賀泰裕教授(東海大学)
○腸内細菌は宿主のストレス反応や行動特性を変化させる
 須藤信行教授(九州大学)

上記演題の中で私の興味を引いた演題について少し解説しておきます。
竹田先生のお話になった乳酸菌がインフルエンザ感染の防御機構は、腸管壁のM細胞から取り込まれた乳酸菌がマクロファージを刺激してNK細胞を活性化することによりインフルエンザ感染を防御する。
高木先生の講演では、ピロリ菌感染者の3~5%が胃潰瘍になり、その0.5%の人が胃癌になる。Lb21ヨーグルトだけではピロリ菌の除菌ができない。ピロリ菌除菌は現在3剤併用が行われている。この方法の除菌率は69.2%であるが、3剤併用にLb21ヨーグルトを併用すると除菌率が82%になった。
古賀先生の講演で興味があったのは、ピロリ菌は胃の常在菌であるが、50年位前から年齢が低下するにしたがってピロリ菌が少なくなってきた。その結果逆流性食道炎が増えてきた。マウスの実験によるとピロリ菌は胃酸分泌を調整している。乳酸菌も同じ働きがあるので、ピロリ菌がいなくなった人に乳酸菌を与えて逆流性食道炎を防ぐことを考えなければならない。
須藤先生の講演では、無菌マウスはストレスに過敏に反応するが、無菌マウスに乳酸菌を定着させるとストレス耐性が強くなった。腸内細菌の種類によって宿主の行動が影響を受けている。

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