hiyamizu's blog

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藤原美子『藤原家のたからもの』を読む

2021年03月17日 | 読書2

 

藤原美子著『藤原家のたからもの』(文春文庫ふ34-2、2019年2月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

何の変哲もない品々が過去のゆたかな時間、忘れがたい人々を甦らせる。藤原正彦夫人が16の「もの」に託して家族の思い出を綴る珠玉のエッセイ集。 義父・新田次郎のリュックサックや亡き母のレシピ、結婚後に英国でもらったラブレター。「私の文章によく似ている(だから上手い)」(巻末エッセイ「危うし、夫の面子)

 

藤原家のたからものとは、昔使った料理本、インドで買った洋服、新田次郎のリュックサック、亡き母のレシピ、マヨルカ焼きの小物入れ、夏休みの日記帳、八ヶ岳の農作業帽子、息子が着ていた少年野球時代のユニフォームなどで、とくに高価なものではないが、家族などとの懐かしい思い出につながる品々だ。カラー写真が掲載されている。

 

「三冊の母子手帳」

ラマーズ法での長男の出産時、

 夫はさんざん悩んだ末に、覚悟を決めて立ち会うことになった。「怖気づいて付き添いを逃げた」と私が必ずやあちこちに吹聴するにちがいない、と正しい予測をしたといえよう。面目を失うことがなによりも怖かったのである。

次男のとき、夫は貧血で倒れ、分娩室隣の安静室で私と枕を並べて休むという失態を演じた。

 

「ニューヨークの銀食器」

夫がニューヨークからのお土産で銀食器のティー・コーヒーセットを買ってきた。

夫は

「セールス品を買えば、値引きされた分だけ儲けたことになる」…「買えば買うほど金持ちになる。今日はボロ儲けしたよ」と言って得意になる。

(「3割引きなのよ! 絶対に買わなければ損よ!」と息巻く妻に、かって私は、「買わないのが十割引きだ」と嫌な気分にさせたことがある。今はとてもそんなこと言えませんが)

 

「夏休みの日記帳」

著者が小学二年生の時の日記帳がある。4歳下の

妹とかくれんぼして遊ぶ様子も出てくる。隠れた妹を捜すのはいとも簡単。「玲ちゃん」と呼ぶと、小さい妹はいつもうっかり「あ~い」と返事をしてしまうからだ。

 妹は二十五歳の若さで亡くなった。再生不良性貧血という、ある日突然に血液が生成されなくなる、当時は原因不明の難病だった。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

読みやすい文章で、幸せな家庭、家族の歴史が垣間見える。しかしながら、家族にとって大切な思い出の品であることは解るが、他人にとってはどうということないという感じだ。才能ある人ばかりの上流家族の幸せな話に、幾分鼻白んだ、嫉妬深い私がいやになる。なら読むなという話なのだが。

 

 

藤原美子(ふじわら よしこ)
1955年、米国プリンストン生まれ。カウンセラー、翻訳家。ハリウッド大学院大学教授、筑波大学附属視覚特別支援学校講師。専攻は発達心理学。
お茶の水女子大学修士課程修了後、数学者の藤原正彦氏と結婚。3人の息子がいる。父は化学者の田丸謙二、双子の姉は立教大学教授の大山秀子。
著書、『子育てより面白いものが他にあるだろうか』、『我が家の流儀-藤原家の闘う子育て』、『家族の流儀-藤原家の褒める子育て』、『夫の悪夢』、『藤原家のたからもの

藤原正彦との共著『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩

 

 

 

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