hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

三遊亭鳳志独演会を聞く

2021年03月28日 | 行楽

 

1年半ぶりという図書館での無料寄席。

 

4年前にも参加し、楽しんだ。この時、聞いた話で思い出すのは、落語家が高座に上がる際にかかる音楽・出囃子(でばやし)は落語家ごとに曲目が異なる音楽だという話。そういえば、TVの人気番組「笑点」の出囃子は中村八大の作曲。

 

今回の噺のまくらは、400年前の初めての落語(小話)は、「お坊さんが通るよ」「そうかい」だと話や、「床屋さん、お金はどうするの?」「チョキン」というものや、捕まえたネズミが大きいか、小さいか、もめていると、ネズミが「チュー」と言ったというもの。(こんな風に書くと、面白くもなんともないが)

演目は珍しい話、3題。

 

「唖(おし)の釣り」

七兵衛は、夜になると、殺生禁断の上野寛永寺の池(不忍池のこと)へ鯉釣りに出掛けて、生計を立てていた。それを聞いた与太郎さん「おらぁも連れて行ってくれ。ダメなら、この話みんなにバラすからな」と脅して、その晩、二人で釣りに出掛けた。
与太郎は、役人に捕まったが、「病気のおかあに食べさせたくて…」と教わっていたように言い訳すると、「親孝行の為なら、今夜だけは見逃してやろう」と許してもらった。
続いて、七兵衛が見つかり、舌がもつれて声が出なくなり、役人が唖と思い込んだ。身振り手振りで親孝行のためだと説明する。「なんと、今晩は親孝行が流行るな。大目に見てやるぞ」。思わず七兵衛は「あ、ありがとうございます」。役人はビックリして 「あ、本当に器用な唖だ。口を利いた」。

(この噺、差別の問題で最近は演じられないのだろう)

 

「ちりとてちん」(上方での名で、江戸では酢豆腐)

旦那が碁の会を開いたが、たまたま人数が集まらず、料理が余った。近所に住むおべんちゃら(お世辞)男のかっちゃん(?)を呼んで、ご馳走する。灘の生一本の酒、タイの刺身、ウナギを、そのうち、出されたご飯までも、「あると言うのを聞いてはいたが、食べたことがない」などとお世辞を言い、旦那を喜ばせる。

不愛想で、失礼で、なんでも知ったかぶりをするてっちゃん(?)を懲らしめたいという話になる。台所で見つかった毛が生えて、やたらと臭い腐った豆腐を台湾の「 ちりとてちん」として食わせようとする。てっちゃんは、案の定、台湾へ行ったことがあり、「ちりとてちん」を知っていると言うので、なんとか逃れようとするのを、無理に食わせてしまう。一口で悶え苦しむてっちゃんに、旦那が「どんな味や?」と聞くと、「ちょうど豆腐の腐ったような味や」。

 

 

「鹿政談(しかせいだん)」 この噺は聞いたことがあった。

当時、鹿は手厚く保護されていて、叩いただけで罰金、殺したら死罪だった。朝、家の前で鹿が死んでいたら、隣へ移動させるため、奈良の人は早起きだった。

豆腐屋を営む与平が朝早くから働いていると、大きな犬が「キラズ」(おから)の桶に首を突っ込み食べていた。手近にあった薪を投げつけると、犬は倒れ、近づくと犬ではなく鹿だった。介抱の甲斐も無く鹿は死亡。正直者の与平は罪を認め、裁きを受けることになる。

お奉行様は何とか助けようと思い、与兵衛に「生れは奈良ではなく事情を知らなかったのであろう」など訊ねるが、与平は正直に答えてしまう。そこで奉行は、鹿の遺骸見て「これは鹿ではない、犬だ」と言い出す。一同は「確かに犬でございます」などと応える。しかし、鹿の守役が鹿に間違いないと異議を唱える。

そこで奉行、「毎年幕府から下されている鹿の餌料代は3千両あるのに、空腹に耐えかねて城下にさまよい出てしまったのは、着服している不届き者がいるからだろう。そちらの調べをいたとうか?」と守役に迫り、「犬でした」との言質を取る。これにて一件落着。

 

やっぱり落語は生に限る。

 

コメント
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