『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1315

2018-06-22 07:56:41 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、ドックス、早いな!昼を済ませたのか?』
 『はい、打ち合わせを済ませないと気持ちが落ちつきません。チョッピリ先が見えてないと、不安ですからね』
 『船台の出来あがり具合の状況はどうだ?』
 『はい、順調です。午後半ばには、第一船台、第二船台が出来あがります。第三船台の出来あがりは、少々遅れます』
 『お!そうか。第四船台はどうなっている?』
 『第四船台は、出来あがって、キドニス方の新艇を据えて、新舵構造の取り付け造作に使用しています』
 『新舵の造作を出来あがったばかりの船台でやっているとは』
 『新舵の造作も新船台では、作業がしやすそうです。この造作も午後半ばに出来あがります。今回で三艇目ですから慣れもあります。出来あがり次第、ギアスに試乗させます』
 『その時点で、連絡をくれ。ギアスにすぐキドニアに向かわせなければならない』
 『解りました』
 『パリヌルスはもう来ると思う。打ち合わせは、建造開始式と新々艇航走の件だ。それと建造の場の作業人員計画に件だ』
 『承知しました』
 『おう、来た来た。パリヌルスが来た』
 『おう、待たせたか?』
 『いや、そうでもない。ドックスと俺の用件は話し終えた。建造開始式と新々艇の構想の件、それと作業人員計画の件だ』
 『そうか、解った。始めよう!ドックスは忙しいだろう。新々艇の件からやる。これを見てくれ。新々艇の構想図だ。その何故はだな、戦闘艇の走行安定性に着目しての改造だ。理解してくれ』
 パリヌルスは新々艇の構想図を描いた木板を二人に手渡す。
 『解ります』
 『おう、解ってくれるか。そうであれば話が早いというものだ。そこでの話だが、その改造による艇体構造の変更、この2点だ。オキテスにドックス、俺の話を聞いたうえで、それの是非と可否だ。それについて考えを言ってくれ』
 『解りました』とドックスが答える、オキテスがうなずく。
 『では、簡単に説明する』と言って、パリヌルスが構想図に基づいて説明する。
 『というわけだ。理解してくれ。結論は、衝角構造体を新々艇に取り付けることによって、艇体の重量が少しばかり重くなる、当然、喫水が下がる、艇体の深さを深くしなければならない。そのうえで船足の速さを考え、艇幅を広くするか否かを考えねばならない。これらに関する考えを聞きたい。明日、夕めしのあとにでもその件について話し合いたい』
 オキテスが間髪を入れずに答える。
 『了解した。ドックスも一緒だ』
 『俺は、その場で仕様書きをしあげる。翌日に予定している会議にはかり、決定する意向だ。ドックス、船棟梁としての構想を頼む、以上だ』
 『パリヌルス隊長、先日、耳うちされた話この件でしたか、考えて考えて答えを出します』
 『ドックス、いいこと言ってくれるな』
 新々艇に関する打ち合わせが終わる。


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