アヱネアスら三人の思案は帰途に就くヘルメスの出航に集中していた。腹中の決心、胸中の思案については語ることなく浜に戻ってきた。
四人の者たちが滞在中に使った浜小屋の清掃に当たっている。海に目を移す、海上にはもやを背景に三本マストを立てたヘルメスの姿がある。
『統領、こうして眺めるとヘルメスはカッコイイですな』
『そうか、自画自賛ではないが、俺の目にもカッコヨク見える』
『新しい船は乗っていても気分のいいものです。それにしても走りのいい船にできていますな』
『お前、ほめてくれたのか、ありがとう』
イリオネスがアヱネアスに声をかけた。
『統領、全員を集めます』
『おう!、そうしてくれ』
イリオネスが浜小屋を覗く。
『おう、美しくなったな。清掃は終わったのか?』
『はい、終わりました』
『そうか、ヘルメスの方へ行って、ギアスに集まるように伝えてくれ』
指示を受けた者が渚に向かって走る。艇上に操舵担当のカジテスのほか一人を残して一同が顔をそろえた。横並びに列が整える、列の端にはスダヌスとイデオスがいた。
イリオネスとギアスが二言三言言葉を交わす。イリオネスは、一人一人と丹念に目を合わせて、各人の状態を把握した。それを終えて、アヱネアスと目を合わせた。アヱネアスがうなずいて一同に告げる。
『諸君、ご苦労!このたびの旅の目的としたイデー山山行を無事に終えた。留守番役をしてくれた君らに礼を言う。我々は、海上を覆うもやの晴れ具合を見て帰りの出航をする。帰りの海路を事なきよう行こう。以上だ』
一同は深くうなずき拍手で答えた。矢継ぎ早にイリオネスが指示を出す。
『各自、持ち場について出航の指示を待て、以上』
アヱネアスら三人は渚に立っている。三人を除いた一同は、ヘルメス艇上の持ち場について待機した。
ギアスは状況の変化に気を配っている。海上のもやが晴れる気配をみせてきていた。パルモス浜頭が身内の者三人を連れて姿を見せた。帰途に就く彼らを見送ってくれるらしい。彼らは会場のヘルメス艇を見て目を見張った。
揚陸していた船は常識的なものだろうとたかをくくっていたのである。まあ~、新しい船であろうくらいに考えていた。
『おう、これはこれは!いったい何だ!新しい形態の船であるらしい。あの三本マスト構成はあたらしい発想かな?あの中央のマストだが高すぎやしないか?』
四人の者たちが滞在中に使った浜小屋の清掃に当たっている。海に目を移す、海上にはもやを背景に三本マストを立てたヘルメスの姿がある。
『統領、こうして眺めるとヘルメスはカッコイイですな』
『そうか、自画自賛ではないが、俺の目にもカッコヨク見える』
『新しい船は乗っていても気分のいいものです。それにしても走りのいい船にできていますな』
『お前、ほめてくれたのか、ありがとう』
イリオネスがアヱネアスに声をかけた。
『統領、全員を集めます』
『おう!、そうしてくれ』
イリオネスが浜小屋を覗く。
『おう、美しくなったな。清掃は終わったのか?』
『はい、終わりました』
『そうか、ヘルメスの方へ行って、ギアスに集まるように伝えてくれ』
指示を受けた者が渚に向かって走る。艇上に操舵担当のカジテスのほか一人を残して一同が顔をそろえた。横並びに列が整える、列の端にはスダヌスとイデオスがいた。
イリオネスとギアスが二言三言言葉を交わす。イリオネスは、一人一人と丹念に目を合わせて、各人の状態を把握した。それを終えて、アヱネアスと目を合わせた。アヱネアスがうなずいて一同に告げる。
『諸君、ご苦労!このたびの旅の目的としたイデー山山行を無事に終えた。留守番役をしてくれた君らに礼を言う。我々は、海上を覆うもやの晴れ具合を見て帰りの出航をする。帰りの海路を事なきよう行こう。以上だ』
一同は深くうなずき拍手で答えた。矢継ぎ早にイリオネスが指示を出す。
『各自、持ち場について出航の指示を待て、以上』
アヱネアスら三人は渚に立っている。三人を除いた一同は、ヘルメス艇上の持ち場について待機した。
ギアスは状況の変化に気を配っている。海上のもやが晴れる気配をみせてきていた。パルモス浜頭が身内の者三人を連れて姿を見せた。帰途に就く彼らを見送ってくれるらしい。彼らは会場のヘルメス艇を見て目を見張った。
揚陸していた船は常識的なものだろうとたかをくくっていたのである。まあ~、新しい船であろうくらいに考えていた。
『おう、これはこれは!いったい何だ!新しい形態の船であるらしい。あの三本マスト構成はあたらしい発想かな?あの中央のマストだが高すぎやしないか?』