『イリオネス、何を言いたい?』
『俺の言いたいことか、浜頭に出航の挨拶をしようと思ってな』
『そうか、思うところは一緒か。ギアスがめしの場にいない』
話し合っているところにギアスが姿を見せた。
『おう、ギアス、どうした?』
『はい、今日の空模様、風の具合の観察です。今、海上は濃いもやがかかっています。風は凪ぎ状態、見通しが悪い。出航のタイミングの思案です』
それを聞いたスダヌスが答える。
『そうか、そんな状態か。急ぐことはないのだ、ギアス。朝めしを済ませろ!それから、一緒に渚に行く。いいな』
『判りました』
ギアスは急いで朝めしを済ませた。
『ギアス、もういいか、行くぞ!イリオネス、お前も一緒に来い』
『おう!』
三人は腰を上げた。渚に立つ、海を眺める、空を仰ぎ見る、東に目を向ける。昇り始めて間もない太陽をもやを通して見た。
『ギアス、もやが濃いのう』
『そうです』
『今日は追い風が期待できるか、否かだ。この季節、東風は気まぐれだ。半島岬の西ではほとんど期待はできないが、岬の東では期待できることもある。どっちにしても漕いで出航だな。覚悟せい!イリオネスにギアス、そういうことだ。いいな』
『判りました』
ギアスは覚悟を決めて応えた。イリオネスがギアスに指示をした。
『ヘルメスを海へだ。いいな』
『判りました』
スダヌスが声をかける。
『イリオネス、行こう。出航のあいさつに行こう。統領も一緒がいい』
『判った』
アヱネアスに声をかけて三人が浜頭の屋敷に歩を運んだ。
浜頭は庭に立って乳白のもやを見ていた。
『おはようございます』
『おう、皆さん、おはよう』
『浜頭、昨夕はたいへん馳走になりました。ごちそうさまでした。私ども帰ります。いろいろたいへん世話になりました。ありがとうございました。浜頭も是非、西の方へ出かけてください。待っております』
『そうか、帰るのか。スダヌス、また、ゆっくり出かけて来い。話も積もる。そういうもんだろう』
二人は言葉を交わして手を握った。
『お二人ともお別れですな。このたびの事忘れはしません。また、おいで下さい』
挨拶が終わった。三人は浜頭のもとを辞した。
『俺の言いたいことか、浜頭に出航の挨拶をしようと思ってな』
『そうか、思うところは一緒か。ギアスがめしの場にいない』
話し合っているところにギアスが姿を見せた。
『おう、ギアス、どうした?』
『はい、今日の空模様、風の具合の観察です。今、海上は濃いもやがかかっています。風は凪ぎ状態、見通しが悪い。出航のタイミングの思案です』
それを聞いたスダヌスが答える。
『そうか、そんな状態か。急ぐことはないのだ、ギアス。朝めしを済ませろ!それから、一緒に渚に行く。いいな』
『判りました』
ギアスは急いで朝めしを済ませた。
『ギアス、もういいか、行くぞ!イリオネス、お前も一緒に来い』
『おう!』
三人は腰を上げた。渚に立つ、海を眺める、空を仰ぎ見る、東に目を向ける。昇り始めて間もない太陽をもやを通して見た。
『ギアス、もやが濃いのう』
『そうです』
『今日は追い風が期待できるか、否かだ。この季節、東風は気まぐれだ。半島岬の西ではほとんど期待はできないが、岬の東では期待できることもある。どっちにしても漕いで出航だな。覚悟せい!イリオネスにギアス、そういうことだ。いいな』
『判りました』
ギアスは覚悟を決めて応えた。イリオネスがギアスに指示をした。
『ヘルメスを海へだ。いいな』
『判りました』
スダヌスが声をかける。
『イリオネス、行こう。出航のあいさつに行こう。統領も一緒がいい』
『判った』
アヱネアスに声をかけて三人が浜頭の屋敷に歩を運んだ。
浜頭は庭に立って乳白のもやを見ていた。
『おはようございます』
『おう、皆さん、おはよう』
『浜頭、昨夕はたいへん馳走になりました。ごちそうさまでした。私ども帰ります。いろいろたいへん世話になりました。ありがとうございました。浜頭も是非、西の方へ出かけてください。待っております』
『そうか、帰るのか。スダヌス、また、ゆっくり出かけて来い。話も積もる。そういうもんだろう』
二人は言葉を交わして手を握った。
『お二人ともお別れですな。このたびの事忘れはしません。また、おいで下さい』
挨拶が終わった。三人は浜頭のもとを辞した。