下山の歩行は慎重な足運びを心がけた。小休止をとりながら目にする風景について話し合った。
振り返って仰ぐイデーの山体はでかかった。
日和はいい、山裾の樹林帯を抜けてソニアナに通じる道に戻り、宿坊に帰り着いた。
彼らは小川の清流で、今日一日の汗と疲れを洗い流した。一同は、夕食までの間を集落の散策に費やした。スダヌスが一同に声をかける。
『ご一同、如何ですかな、もう、そろそろ宿坊の方へ行きましょう』
『おう、いいだろう』
衆議一決の賛同である。彼らは、それとなく空腹を感じていたのである。
『やややっ!みなさん!お帰りなさい。今日はお疲れになりましたかな?夕食の支度ができています。食堂の方へ、どうぞ!』
宿坊の主人は、屈託のない笑顔で一同を食堂に招じ入れた。食卓の上には、もてなしの心を込めた料理の数々が卓狭しと並んでいる。めずらしい山の料理のオンパレードであった。山の湧水がベースの酒である、淡白ながらもさわやかなのど越しであった。素朴な味の料理である。一同は、うまい!うまい!で味わった。何を口に運んでもうまかった。
イデー山山頂でのことが話題にのぼってくる。彼らにとって貴重な体験であり、語り継いでいく体験であった。また、松明で暖をとったことを宿坊の主人に厚く礼を言った。
『そうでしたか、山頂は、耐えられないくらいに寒かったでしょう。役に立って何よりでした』
山頂で味わった寒さ、それに耐えた有様、言葉で言い尽くせない目にした眺望の数々、それを語って話に花を咲かせた。
最後に明日の行程を話し合って夕食の座を解いた。
夜が更けていく、床に就く、寝つけない。とは言え、快い疲れが彼らを眠りの深淵に誘った。
彼らの朝は早い、山行2日目の朝である。イデー山麓で陽の出前の黎明の時には、もう起きだしていた。
朝行事を終えて陽の出を待っている。昨日の朝はイデー山山頂で苛酷の朝を迎えた。
今朝の山裾で迎える朝、朝の心いい冷気が彼らをキリッとさせた。
彼らの日常、海辺で迎える朝とは、異質の朝を体感していた。
振り返って仰ぐイデーの山体はでかかった。
日和はいい、山裾の樹林帯を抜けてソニアナに通じる道に戻り、宿坊に帰り着いた。
彼らは小川の清流で、今日一日の汗と疲れを洗い流した。一同は、夕食までの間を集落の散策に費やした。スダヌスが一同に声をかける。
『ご一同、如何ですかな、もう、そろそろ宿坊の方へ行きましょう』
『おう、いいだろう』
衆議一決の賛同である。彼らは、それとなく空腹を感じていたのである。
『やややっ!みなさん!お帰りなさい。今日はお疲れになりましたかな?夕食の支度ができています。食堂の方へ、どうぞ!』
宿坊の主人は、屈託のない笑顔で一同を食堂に招じ入れた。食卓の上には、もてなしの心を込めた料理の数々が卓狭しと並んでいる。めずらしい山の料理のオンパレードであった。山の湧水がベースの酒である、淡白ながらもさわやかなのど越しであった。素朴な味の料理である。一同は、うまい!うまい!で味わった。何を口に運んでもうまかった。
イデー山山頂でのことが話題にのぼってくる。彼らにとって貴重な体験であり、語り継いでいく体験であった。また、松明で暖をとったことを宿坊の主人に厚く礼を言った。
『そうでしたか、山頂は、耐えられないくらいに寒かったでしょう。役に立って何よりでした』
山頂で味わった寒さ、それに耐えた有様、言葉で言い尽くせない目にした眺望の数々、それを語って話に花を咲かせた。
最後に明日の行程を話し合って夕食の座を解いた。
夜が更けていく、床に就く、寝つけない。とは言え、快い疲れが彼らを眠りの深淵に誘った。
彼らの朝は早い、山行2日目の朝である。イデー山麓で陽の出前の黎明の時には、もう起きだしていた。
朝行事を終えて陽の出を待っている。昨日の朝はイデー山山頂で苛酷の朝を迎えた。
今朝の山裾で迎える朝、朝の心いい冷気が彼らをキリッとさせた。
彼らの日常、海辺で迎える朝とは、異質の朝を体感していた。