『まさかであったですな。頭、私らも全く気が付きませんでした。三本マストの船とはーーー』
『中央の帆柱があれだけ高いと走行安定がむつかしいのではーーー』
彼らの会話である。彼らの頭の中には、従来の横四角形の帆形しかなかったのである。浜頭はスダヌスに声をかけた。
『おう、スダヌス、なかなかの船ではないか。三本帆柱、カッコのイイ船ではないか。中央の帆柱があれだけ高くても大丈夫か、船の長さに比べて中央の帆柱が高い、風ハラミ走行の安定性が気になるところだが』
『そうか、その様に見えるか、帆張り、風ハラミにひと工夫されている船なのだ。その姿カタチを出航の折には見せられないかもしれないが、この俺には説明が出来ない。まだ、テスト走行といったところなのだ』
『これを知っていれば、ギアスに説明させたものをーーー』
浜頭は唇を噛んだ。
艇上に声が飛んだ。艇尾の操舵を担当しているカジテスからだ。
『キャプテンギアス!東から微風が来ています。少し南寄りです。海上のもやを払っています』
『何!そうか、よしっ!いいぞ』
ギアスは緊張した。
渚にいる者たちが話し合っている。
『おう、スダヌス、お前ら運が強いな、感心感心といったところだな。出航の時が来る、風が吹く、もやが吹き払われる、それも追い風だ。もう乗船の時だろう、行け!』
『浜頭、ありがとう。見送りに足を運んでくれるとは。ヒマをつくってスオダに来てくれ。ここでは話すことのできない話もある、俺は待っている』
『判った。何とかしてお前のところへ行く』
アヱネアスもイリオネスも浜頭に別れを告げた。
『イリオネス、乗船だ。空模様、風具合がいい具合になりつつある。アヱネアス殿をお連れしてくれ』
二人は海に身を浸して、ヘルメスに向かう。これを見送るスダヌスと浜頭。
親交のある二人は互いの肩に手をかけた。
『スダヌス、元気でいてくれ。必ず、行くからな』
『おう、待っている!必ず、来いよ』
二人はじい~と見つめ合う、肩を抱く、手を握り合う。互いに相手の髪の毛を引き合う感覚を覚えた。スダヌスは、海に足を突っ込む、歩を進める、ヘルメスの船べりに手をかける、肩まで沈めて海底をける、ヘルメスに乗った。
ギアスの指示が飛んだ。
『中央帆柱、帆を上げっ!舳先き、艇尾帆柱、帆を上げっ!漕ぎかた準備!いいな!』
『中央の帆柱があれだけ高いと走行安定がむつかしいのではーーー』
彼らの会話である。彼らの頭の中には、従来の横四角形の帆形しかなかったのである。浜頭はスダヌスに声をかけた。
『おう、スダヌス、なかなかの船ではないか。三本帆柱、カッコのイイ船ではないか。中央の帆柱があれだけ高くても大丈夫か、船の長さに比べて中央の帆柱が高い、風ハラミ走行の安定性が気になるところだが』
『そうか、その様に見えるか、帆張り、風ハラミにひと工夫されている船なのだ。その姿カタチを出航の折には見せられないかもしれないが、この俺には説明が出来ない。まだ、テスト走行といったところなのだ』
『これを知っていれば、ギアスに説明させたものをーーー』
浜頭は唇を噛んだ。
艇上に声が飛んだ。艇尾の操舵を担当しているカジテスからだ。
『キャプテンギアス!東から微風が来ています。少し南寄りです。海上のもやを払っています』
『何!そうか、よしっ!いいぞ』
ギアスは緊張した。
渚にいる者たちが話し合っている。
『おう、スダヌス、お前ら運が強いな、感心感心といったところだな。出航の時が来る、風が吹く、もやが吹き払われる、それも追い風だ。もう乗船の時だろう、行け!』
『浜頭、ありがとう。見送りに足を運んでくれるとは。ヒマをつくってスオダに来てくれ。ここでは話すことのできない話もある、俺は待っている』
『判った。何とかしてお前のところへ行く』
アヱネアスもイリオネスも浜頭に別れを告げた。
『イリオネス、乗船だ。空模様、風具合がいい具合になりつつある。アヱネアス殿をお連れしてくれ』
二人は海に身を浸して、ヘルメスに向かう。これを見送るスダヌスと浜頭。
親交のある二人は互いの肩に手をかけた。
『スダヌス、元気でいてくれ。必ず、行くからな』
『おう、待っている!必ず、来いよ』
二人はじい~と見つめ合う、肩を抱く、手を握り合う。互いに相手の髪の毛を引き合う感覚を覚えた。スダヌスは、海に足を突っ込む、歩を進める、ヘルメスの船べりに手をかける、肩まで沈めて海底をける、ヘルメスに乗った。
ギアスの指示が飛んだ。
『中央帆柱、帆を上げっ!舳先き、艇尾帆柱、帆を上げっ!漕ぎかた準備!いいな!』