『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第７章 築砦 526

　『それはありがたい。世話をかけるな』スダヌスは礼を述べた。
　アヱネアスは、進み出て浜頭に丁重に礼を述べ、握手を交わした。
　『無事の帰着、何よりでしたな。今、スダヌス浜頭に伝えたのだが、あるものでですが夕食をと考えています。一緒にやりましょう』
　『それはそれは、気づかいいただいて、誠にありがたい。喜んで一緒いたします』
　山行からの帰着のあいさつを終えた。浜頭は、身内の者たちと夕食の場つくりに取り掛かった。
　イリオネスは、アヱネアス、クリテスとともに一行の帰りを待っているギアスのところへと足を運んだ。
　『おう、ギアス！今、帰ったぞ！一同に変わりはないか？』と声をかけた。
　『あっ！統領に軍団長。お帰りなさい。無事のおかえり何よりです。報告します。留守中、変事はありませんでした』
　『そうか、それは重畳！今夕の食事は浜頭のところで、全員参加でやることになっている。その準備をするように、それからだが、ヘルメス艇の方は？』
　『はい！それは、明日出航のための点検はすべて終わっています』
　『そうか、よしっ！了解。ご苦労であった』
　ギアスら一同は列を整えてアヱネアスを迎えた。アヱネアスが前に立つ、ギアスが声をかける。
　『統領、無事の帰着何よりです』
　『この通り、無事、山行から帰った。留守の間ご苦労であった。安堵している』
　一同は歓声と拍手を帰着した一行に送った。スダヌスがギアスに声をかける。見つめ合う、肩を抱く、互いの無事を喜び合った。
　『おう、ギアス、そういうことだ。いいな。それから三、四人連れて、夕食の場づくりに行ってくれ』
　ギアスと浜頭は、この三日間で親交の度が深まっている。互いの気持ちが、ツーカーで通じるようになっていた。
　『おう、ギアス、夕食の場づくり手伝ってくれるのか、そうか』
　『用事を言いつけてください』
　『おうっ！』