刻を計る作業は、時間をかけることなく終わった。
『アミクス、方向転換信号だ、松明二本信号だ、いいな。船尾にいって直ぐやれ!右方向への回頭だ、陽の射す方向へだ。操舵手に直ぐ指示を出せっ!』
『はい!判りました』
アミクスは時板を返すと急ぎ船尾へと向かった。
オキテスは間髪をいれず、櫂座の者たちに命令を下した。
『右舷の者ども!櫂を海中に突っ込めっ!』
『帆はそのままだ、行けっ!』
右舷がやや、沈みかげんに傾いだ、回頭を確かめた。
『全員っ、漕ぎかた始めっ!全力で漕げっ!』
『おっ!よしっ!いいぞ!』
彼は、後続の三番船に目をやった。更に四番船に目を移した。三番船は、回頭を終えてついて来ている。四番船は回頭作業の真っ最中であった。方向転換信号はオロンテスの五番船及びアンテウスの六番船に届き、殿りを航走している一番船に届いていた。航行を懸念していたパリヌルスは、ためらうことなく作業を指示した。全船が無事に方向転換を終えた。オキテスが気にしていた2隻の改造交易船も難なく方向転換を終えていた。彼は胸をなでおろした。
だが、心配が胸を去らない、帆のことである。改造交易船は荷を積んでいる関係で、やや重心点が高くなっている。風次第では転覆の危険がある。彼は気を抜くことなく五番船と六番船に注意を払った。
『アミクス、方向転換信号だ、松明二本信号だ、いいな。船尾にいって直ぐやれ!右方向への回頭だ、陽の射す方向へだ。操舵手に直ぐ指示を出せっ!』
『はい!判りました』
アミクスは時板を返すと急ぎ船尾へと向かった。
オキテスは間髪をいれず、櫂座の者たちに命令を下した。
『右舷の者ども!櫂を海中に突っ込めっ!』
『帆はそのままだ、行けっ!』
右舷がやや、沈みかげんに傾いだ、回頭を確かめた。
『全員っ、漕ぎかた始めっ!全力で漕げっ!』
『おっ!よしっ!いいぞ!』
彼は、後続の三番船に目をやった。更に四番船に目を移した。三番船は、回頭を終えてついて来ている。四番船は回頭作業の真っ最中であった。方向転換信号はオロンテスの五番船及びアンテウスの六番船に届き、殿りを航走している一番船に届いていた。航行を懸念していたパリヌルスは、ためらうことなく作業を指示した。全船が無事に方向転換を終えた。オキテスが気にしていた2隻の改造交易船も難なく方向転換を終えていた。彼は胸をなでおろした。
だが、心配が胸を去らない、帆のことである。改造交易船は荷を積んでいる関係で、やや重心点が高くなっている。風次第では転覆の危険がある。彼は気を抜くことなく五番船と六番船に注意を払った。