船団は、二番船を先頭に船出していく、帆にはらむ風は弱く風をはらんだ様子だけを見せていた。オキテスはグットこらえた。
動き出した船団は、明けの陽光を左横に浴びて海洋の面を割った。
突如、海上の小舟群から、ドット喊声が湧き上がった。喊声は、建国の壮途に出て行く者たちの魂をゆすぶった。彼らの心を鼓舞し躍らせた。
続いて三番船が波を割り始めた。間をおいて四番船が続く、各船が続いて、波を割り白い航跡を引いて進んで行く。
小舟の上のトリタスや浜衆たちは、その情景に目を見張っている。感動と興奮が極みに昇ってくる、声を張り上げた。彼らを見送った。見送られる者たちは手を振ってこれに答えた。半年の間ともに過ごした別れのときであった。
陸からの風は、少しづつではあったが力を増してきつつあった。追い風にはあと少しである。船上の彼らは、風の力を乞い願った。風が力を増してくる、帆のはらみがカタチになってきた。波頭が白く風に飛ぶようになってきた。
『漕ぎかた、止めっ!』
全船が櫂を上げた。
各船は、80メートルくらいの間隔を保ちながら航走している。船団は順風満帆の風力航走に移った。
船上の者たちにふりかえる余裕が出てきた、彼らは遠ざかる陸地に目をやった。胸のうちにこみ上げてきたのは、もう帰るところがない、しかし、行くところがある。一抹の寂しさと希望であった。
このときになって、イリオネスは、袋の中から方角時板の鉄の棒を取り出した。
動き出した船団は、明けの陽光を左横に浴びて海洋の面を割った。
突如、海上の小舟群から、ドット喊声が湧き上がった。喊声は、建国の壮途に出て行く者たちの魂をゆすぶった。彼らの心を鼓舞し躍らせた。
続いて三番船が波を割り始めた。間をおいて四番船が続く、各船が続いて、波を割り白い航跡を引いて進んで行く。
小舟の上のトリタスや浜衆たちは、その情景に目を見張っている。感動と興奮が極みに昇ってくる、声を張り上げた。彼らを見送った。見送られる者たちは手を振ってこれに答えた。半年の間ともに過ごした別れのときであった。
陸からの風は、少しづつではあったが力を増してきつつあった。追い風にはあと少しである。船上の彼らは、風の力を乞い願った。風が力を増してくる、帆のはらみがカタチになってきた。波頭が白く風に飛ぶようになってきた。
『漕ぎかた、止めっ!』
全船が櫂を上げた。
各船は、80メートルくらいの間隔を保ちながら航走している。船団は順風満帆の風力航走に移った。
船上の者たちにふりかえる余裕が出てきた、彼らは遠ざかる陸地に目をやった。胸のうちにこみ上げてきたのは、もう帰るところがない、しかし、行くところがある。一抹の寂しさと希望であった。
このときになって、イリオネスは、袋の中から方角時板の鉄の棒を取り出した。