『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  54

2009-10-01 08:40:29 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスはひと息ついて続けた。
 『俺は、この地に詳しくはない。今日の夕刻、薄闇に包まれる頃を見計らって、予定している戦場の視察に出向く。戦略決定の打ち合わせは、明早朝に開く、集合は日の出の時刻だ。いいな。以上だ。あ~あ、それから、パリヌルス、オキテス、言っておいたこと検討して、見当をつけておいたか。イリオネス、カピユス、いいか。夕刻、浜から小船で出かけるぞ。皆、漁師のかっこで集まれ。以上だ。これで散会する。』
 木々からの木漏れ陽の射し込みが斜めに変わっていた。
 彼ら一同は、アエネアスの力強い、自信に満ちた口調と言葉に勝利の確信を得ての散会であった。アエネアスは、短いひと時をユールスと過ごした。
 パリヌルスとオキテスは、トロイの岸を離れて、沿岸航法での最短距離とその航路については熟知していた。ただ、この長い海岸線の浜のどの地点に彼らが着岸するか。敵のスタンスで考えた。その上での結論は、ゆるぎないものになっていた。
 この二人も、今度の戦いの勝利が己らの手中にあることを確信していた。