日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「夏のひそめく」「先つ世の如」2首

2014年08月02日 | 日記
 夏の暑さは、見聞きするものを、静寂の中に溶かすことがあります。

よく晴れた夏の夕方、まだ強い日差しに照らされた白壁が、音もなく一面に映えて、目を凝らし、耳を澄ませていると、ものみなが声を潜めて、何かに聴き入っているかのように、静まり返っています。

ゆうぞらを ひたてらすひや しらかべに おとなくはえて なつのひそめく
夕空を ひた照らす陽や
白壁に 音なく映えて
夏の密めく

(夏の夕方、強い日差しに照らされた白壁が音もなく一面に映え、辺りのもの皆が、何かに聴き入っているように、息を潜めています)

 ある人の面影を、今でもときどき思い出すことがあり、今日も夏の暑さの中、ふと思い出しましたが、恋しさに耐えられない苦しさも、今は前世でのことのように、遠く懐かしい思い出になりました。

今にうかぶ いもがおもざし なつかしき おもいはふりて さきつよのごと
今に浮かぶ 妹が面ざし
懐かしき 思いは旧りて
先つ世の如

(貴女の面影が今日もふと思い出され、かつては恋しさに耐えられなかった苦しさも、今は前世でのことのように、遠く懐かしい思い出になりました)

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