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故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

お茶にまつわる話

2015-03-19 06:34:20 | 思い出話

かみさんとの初デートは銀座のタクトでした。
木製の床でした。コーヒーの味は覚えていません。

パキスタンで飲んだチャーは甘くて深みがありました。
熱湯の入ったポットに、布に包んだ紅茶がいれてありました。
休みの日に連れて行ってもらった日本の軽井沢みたいなところで
生産されると聞きました。売られていた菓子類はどれも湿っていました。
この湿度が、お茶の生産に向くのだろうと感じました。

恐る恐る行った中国でのこと。
専用のお茶台があり、何度かお茶を熱湯で洗うようにして、
その後蒸すように、本当に飲むお茶を入れてくれました。
これも華やかな香りと味でした。
台湾で訪ねたお茶屋さんでは、お茶の飲み比べをさせていただきました。
こんなにお茶の味が、風味が違うのかと思ったものです。
淹れ方は、前述の中国の方式といっしょでした。
美味しいと思ったお茶は、必ずしも高いものではありませんでした。

長い山旅の後、訪れた天竜のお寺で、和尚がいれてくれた日本茶は、
身体の緊張をほぐしてくれました。
香りを鼻の奥まで吸い込むようにいただきました。
何杯飲んでも風味は変わりませんでした。

社会人になり、初めて訪ねた秋田の農家でお茶をいただきました。
「お前ら、馬鹿といわれても分かんねえな。」とからかわれながら、
いぶりがっこのお茶うけをいただきました。
この塩気がお茶を何杯も飲ませてくれました。
そして、初めてでも親しみが湧いて来たのでした。

妻がいろんなお茶を入れてくれます。
そば茶、ほうじ茶、コーヒーと、どれも毎回味が変わります。
セブンカフェの味は、焙煎温度が高いのか濃い目の味が気に入っています。

娘が、缶から取り出して入れてくれる紅茶を、5分ほど蒸らして飲ませてくれます。
ほんのり甘い果実の香りがします。味は紅茶の深みがあります。
久しぶりに会う家族の間で、話が弾みます。

旧帝国ホテルでいただいたコーヒーの味は覚えていません。
深く座ったソファの居心地よさは忘れられません。

小さい頃は、母が入れてくれた豆茶で乾いた喉を癒したものです。

古今東西、お茶が飲まれます。
特別美味しかったお茶の味を思い出そうとこの稿を書き始めました。
最後まで思い出せませんでした。

これからも、何度となくお茶を飲むことでしょう。
いろんな人と出会うことでしょう。
そのお茶が、知らずして最期となる方とも飲むでしょう。
お茶には不思議な力があります。人生そのものかもしれません。

さらっと、じっくりと味わいたい。

茶の香り、時空を越えて、鼻の奥。

2015年3月19日
コメント
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