自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

今どきの大型蛾,アケビコノハ

2016-01-22 | 日記

1月22日(金)。つい先日,ある会の新年会でSさんと同席。そのとき,以下のような情報がもたらされました。併せて,スマートフォンで撮った写真を見せてもらいました。

「職場にあるサザンカの下で掃き掃除をしていたら,からだの大きさが5cmほどの,褐色をしたガがいたんです。葉だと思い掃こうとしたんですが,動かないので,おかしいなと思って確かめたんです。名前はわかりませんが,今頃にいる昆虫というのは珍しいと思います。もしまだいたら連絡しますから,実物を見てください」

写真はピントがぼけていてよくわかりません。冬のガは珍しくはありませんが,そうかといって,よくお目にかかるというわけでもありません。それで,できれば見たいものだと思っていました。そうしたら,昨日,電話がかかってきて「まだいるので,見に来てほしい」とのこと。こうなると,わくわくしてきます。

以上の経過をたどって,今日22日を迎えました。Sさんの職場に行くと,ニコニコ顔で「名前がわかりましたよ。ネットで調べたんです。アケビコノハというガらしいです。プリントをしておきました」とおっしゃいました。見ると,そのとおりアケビコノハです。わたしはこれで二度目の対面です。「翅を拡げたとき,こんな模様でした。……」と,Sさん。特徴をしっかり見ておられました。 

今どきにしては大きめの体形です。まるで枯れ葉そっくりのからだつきは自然の妙を感じさせます。大した戦略の持ち主です。この姿で枯れ葉に紛れ込んでいたら,大抵は見つからないでしょう。鳥の目はもちろん,人間の目も誤魔化せそう。

成虫で越冬しますから,触れてもいかにも今はお休みという感じです。口吻がわずかに震えていましたが,自力で立つ気配はありません。

それで成虫をもらい受けました。飼育ケースで越冬させてみようと思っています。もちろん,その前に撮影しておかなくちゃ。

持ち帰っても,休眠状態。脚は完全にからだにくっ付いたようにして折り畳まれたまま。


頭部辺りを撮りました。さすがにガらしく,毛が密生しています。寒くても,保温効果は絶大かな?


先端に突き出た器官は感覚機能を担っているのでしょうか。おもしろいかたちをしています。アップで撮りました。まるでハタキか,なにかのよう。


指でからだを起こすと,なんと突然翅をばたつかせてよみがえったかのように動き出しました。そして指にくっ付いたのです。そのときに現れたのが,後翅のびっくり紋様。これで天敵に「近づくなよ!」と警告しているのではないか,そんなふうにいたって常識的な解釈がなされています。しかし,そうではあっても,この生存戦略を有するこの種だけが本種として保存されてきた生命史は,心底ふしぎを実感させます。


からだをそっと下に置いて,翅を拡げているときに写真を撮りました。後翅の紋様がきれいに見えています。こうして見ると,前翅は枯れ葉にそっくり!


やがて翅を閉じました。立った状態の枯れ葉と瓜二つ。


アケビコノハは周りの環境に似せて身の安全を確保しようとしているのです。擬態のふしぎがじわっと伝わってきました。ガ自身の意志でつくり出した結果でもないでしょうし……。それはともかくとして,Sさんに感謝。

 


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