公共施設をはじめとして,スーパー等の駐車場に,障がい者用の駐車スペースが設けられているところがあります。つい先日,ある市の市長の公用車が,市立図書館のその位置に止まっていたことに関して報道がなされ,ちょっとした話題になりました。
内容は,市長が個人的に借りた本を返すために公用車で図書館を訪れた,運転手が判断してそこに停めた,その間に市長は本を返した,公用車を見た市民が関係者に通報した,市長はそこが障がい者用の駐車スペースとは認識していなかった,状況把握の甘さを反省して自らに減給処分を課した,運転手には後日処分を課す予定である,そんな話です。
それについて,公務中に私的な行動をしている,よく利用する施設なのだからそこに停めてはならないとわかっているはず,などと批判が出ていました。
わたしが,ついつい思うのは“全体の奉仕者”であって,公務に携わる人の意識の程度です。よく利用しているなら,駐車スペースに何か標識があるのが目にとまっているでしょう。それに,人権意識の向上について研修が深められている市なら,上司・部下という立場の上下関係を抜きにして,まず運転手の判断が機微にはたらくでしょう。それが健全な交通道徳でしょうから。
そうできなかった甘さがどこから出てきているか,当事者自ら自己点検してほしいですね。率先垂範をして然るべき立場にある公務員の,典型的な甘さが出てきたといえるのですから。「知らなかった」「うっかりしていた」なんて,一般市民のような言い訳は成り立ちません。それなりの立場にあることが自覚できていなかったわけです。わかりにくい標識だとしたら,それを急いで改良できていたでしょう。結局,それができなかったのは慢心といってもいいかと思います。
障がい者用の駐車スペースに自動車を停める人の例については,これまで記事にしたことがあります。人々の意識にかなり根付いていて,ほとんどそうした例は見かけませんが,あることにはあります。
学校や役所関係で,施設玄関に近い,来客用であるはずのスペースに,あいかわらず駐車する職員があります。以前より,減ったもののやはりあります。若い頃のわたしが,恥ずかしながらそうした一人だったので,今の現状はよくわかります。
理屈を知らないと,とんでもない失敗をしでかします。理屈を知っていても,不断に磨きを掛ける努力を怠ると,不用意な失敗をしてしまいます。
失敗で,人の気持ちを不快にして逆なでしないように自戒し続けたいと思います。
(注)写真は記事内容とは直接関係ありません。