サザンカの花が少しずつ萎れてきて,枯れ落ちていきます。冬が進んでいくにつれて寒さが増し,生きものにとって試練を迎えます。サザンカの垣根で暮らし続け,卵に次世代を託したジョロウグモはとうとういのち絶えます。
寒くても元気に活動するクモもいます。網を張って虫を待ち受ける小さなクモ。
ハエトリグモのなかまもその一つ。
元気だということは餌にありつけるということ。この時期でも,暖かい日中はツマグロキンバエのような小型の昆虫がたくさん見られます。サザンカは,目立つ色をした花弁に加え,魅力的な花粉と花蜜を準備して訪花を待ち受けています。小さめのクモにはツマグロキンバエならじゅうぶん空腹を満たすことができるでしょう。
さっそく捕まった個体がいました。見ると,まだ脚が動いていました。自然の摂理なので,なるがままにしておくほかありません。
もっと近づて観察してみました。長い脚で捕獲されたら逃げようがありません。一瞬のハンティングだったにちがいありません。
別のところでも,同じようにツマグロキンバエが捕まっていました。
たいへんどう猛なクモに見えますが,わたしの指が近くの葉に触れてクモたちが揺れたときのこと。なんと,捕らえた獲物をから脚を離して,さっさと逃げ去ったのです。敏感なこの動きにはびっくり。
それにしても,初めて見る当たり前のような光景に驚き入りました。ハエトリグモは密かに待ち伏せているのがよくわかりました。