9月22日(日)。午前9時40分。もう一つの卵で孵化が始まりました。
頭を突き出しました。
下に向かって出て来ます。
着地!
10時1分。すっかり出てしまいました。
出口を開け始めてからここまで21分。無事に誕生しました。
産付後,ざっと3日22時間。意識して観察してみたら,「今どきの孵化」の経過がちょっと見えて来ました。
9月22日(日)。午前9時40分。もう一つの卵で孵化が始まりました。
頭を突き出しました。
下に向かって出て来ます。
着地!
10時1分。すっかり出てしまいました。
出口を開け始めてからここまで21分。無事に誕生しました。
産付後,ざっと3日22時間。意識して観察してみたら,「今どきの孵化」の経過がちょっと見えて来ました。
9月22日(日)。午前7時49分。孵化始まる。
頭部が出て来ました。
出て来たと思ったら,すぐに身を乗り出しました。
動きは休むことなくさっさと進んで行きます。
午前8時1分。殻から出終わりました。出始めてからここまでで12分。そして,産付後ざっと3日と20時間が経過。
残ったもう一つの卵については次回に……。
タイトルに「今の孵化」と付しました。卵が産付されてから孵化までの日数は,時期によって違ってきます。それは気温に左右されるのが大きな理由です。わたしはふつう大変化を撮影するのをたのしみとしていますが,生態を知るには孵化までの日数を確認作業もまた欠かせません。
それで,今回,たまたま産卵の目撃をしたので,秋の「今の」時期の孵化日数を確かめておこうと思い立ちました。
9月18日(水)。正午。ポットに植えたブロッコリーの苗にモンシロチョウが飛来。わたしの足元で葉に産卵。産卵数2個。
これです。
9月21日(土)。早朝。産付後2日と19時間。,変化あり。
9月21日(土)。夕方。産付後3日と5時間。側単眼が見えかけました。孵化が近づいています。
土手に生えるイヌガラシの葉でモンシロチョウの卵を見つけました。持ち帰って孵化への変化を観察しているとき,一つの卵に外敵と思われる小さな虫を発見。それは透明感のある昆虫です。過去,赤と白の縞模様をもったこれとそっくりな虫を見たことがあります。たぶんアゲハの卵で見たような気がします。記事にしましたが,確認し直す間がありません。
見たのは二匹。もう一匹は黄色いからだをしていました。卵を見ると点々が。中も変です。どうやら被害に遭ったようです。この虫が襲った証拠はありませんが,状況証拠としては意味ある写真でしょう。
虫は卵のすぐそばを盛んに動き回っていました。
からだの割りにはしっかりした触角をもっています。
反対側から卵を見ると,やっぱり変です。
結局この卵は孵化しませんでした。
殻がこれほどくっきりと,おまけに幼虫がこちら向きに静止しているのを撮ったのは初めてです。強く印象に残る一コマになりました。殻を食べていてひと休止しているところです。
しばらくすると,また殻の方を向いて食べようとしかけました。
その様子を真上から眺めました。
やや斜め上から見ました。口も眼も見えます。からだの輪郭も,至近距離にしてはうまく写し込めました。
生きている表情というものは見ていて飽きないものです。
「生まれる」という生物的事実には、ほんとうに理屈抜きのすごさがあります。どんな小さないのちも、生き物数億年のいのちを引き継いでいることを思うと、見ることでさえいい加減な気持ちになれません。しっかり向き合わなくちゃ、という感じなのです。
透き通ったからだに宿るいのちのふしぎは、いくら考えてもふしぎだらけ。カプセルから出るタイミングをどう計っているのだろう、穴の大きさはこれでいいとどうやって判断するのだろう、判断を司る司令塔はどこにあるのだろう、……、こんなことを考えていくと際限がありません。
出た後、Uターンせよというシグナルはどうやって発せられて、どんな神経系を通して行動へとつながっていくのだろう、そんなふしぎがいくらでも浮かんできます。
思いっ切り近づいてみるとおもしろいだろうなと思いつつ、 そうしてみることに。卵の高さが1mm。肉眼では識別できない世界の出来事です。
初めて見る世界に、すごさが光ります。
「ほっ、ほーっ!」の世界です。
ありふれたモンシロチョウのことなので大して気には留めないときがありました。しかし,孵化を観察しているうちに「これもすごい! 身近なだけに,容易に観察できるなあ」という思いが強くなってきました。
生まれる瞬間を目撃できるのは極上のひとときです。
殻からゆっくり身を乗り出します。透き通ったからだが輝いています。殻の中でUの字に曲がって収まっていたからだが,真っ直ぐになって出て来ます。これがいのち!
葉に着地!
出終わりました。
からだは完全に着地。
体表が瑞々しく光ります。真新しいいのちの誕生を感じます。
孵化後,幼虫は必ず殻を食べます。その本能はチョウの種によって異なります。 食べない種もある中,モンシロチョウは食べるということです。ただ,食べ尽くすという例は多くはないようです。
うんと近寄れば,口元も側単眼もはっきり確認できます。口が動くのが見えると,いのちの凄さが伝わって来る気持ちになります。
からだを起こすようにして,殻の上部に口を向けます。毛の先には水滴状の液体が付着しています。生まれた後によく見られるものです。
食べることに専念している間は,とにかく貪り食うという感じです。
上から下に向かって食べていきます。卵の殻と,からだの大きさとを比べると,たったの今までこのカプセルに入っていたとは考え難い大きさに感じられます。
いのちにはふしぎがいっぱい詰まっています。
殻から出終わった幼虫はUターンして殻に向かいます。
殻に着くと,それを貪るようにして食べます。
食べるという本能がはたらく瞬間です。
とにかく懸命に食べます。
別の個体は,孵化後しばらくからだを休めていました。 その後ゆっくり殻に向かいました。
習性のすごさとふしぎを,ついつい感じてしまいます。成虫になるまでの生存率はたったの2%。この幼虫は無事に育つでしょうか。
一つの卵の孵化を追いました。本記事はその記録です。
殻の上部に穴を開け,頭を出しました。
からだを下方向に曲げ,出ようとします。赤い部分は卵殻にあったとき,折れ曲がっていた箇所です。
葉の上に第一歩を印します。
ほぼ出終わります。
全身が出て来ました。
なんとツヤのある体表なのでしょう。ヒトでいえば,赤子です。
感動的といってしまえば,それで終わり。そんな古びたことばでは到底表しがたい,まことにこころを打つシーンです。