ウイルス学者のVincent Racaniello 先生の講義から
コロナウイルスの異様さについて
ゲノムは、一本鎖プラス鎖RNAである。他のウイルスに比較して長い。
まず、ゲノムの前半だけを翻訳して、RNA依存性RNAポリメラーゼを作る。
このRNA依存性RNAポリメラーゼを使って、ゲノムのプラス鎖RNAから、マイナス鎖RNAを複製する。
このマイナス鎖RNAから、様々な長さのmRNAを合成する。
下の図の右下、ゲノムの右側半分に、順に、スパイク、エンベロープ、膜、ヌクレオカプシドと並んでいて、スパイクを翻訳するmRNAには、エンベロープ、膜、ヌクレオカプシドも含むが、これらは翻訳されない。
同様に、エンベロープを翻訳するmRNAには、膜、ヌクレオカプシドのmRNAを含むが、これらは翻訳されないということ。
この仕組みは、ものすごく変だと、Racaniello 先生が話している。自分がデザインするなら、もっと単純に、ポリオウイルスのようにすべてのタンパクを翻訳して、切断すると。


コロナウイルスが、奇怪な点はもう一つあって、下の図のようにウイルスを複製したりmRNAを合成するときに、一本鎖プラス鎖の3’端から、RNA依存性RNAポリメラーゼがマイナス鎖を複製する過程で、TRS-B(転写制御配列)までくると、5’端にある他のTRS-Bに複製が移っていくことが可能で、その結果、コロナウイルスでは、頻繁に組換えがおこる仕組みになっているという点でした。

論文も多数でているようです。
ただのエクソソームだったらどうするんでしょうね。