武漢在住の25歳英国人(ウェールズ人)男性コナー・リードの感染日記
基礎疾患無しであるが重症、武漢の学校で英語教師
1日目:11月25日月曜日、風邪をひいた、くしゃみと目が少しかすむ、仕事を休むほどではない、7ヵ月前に英語教師として武漢に来たが、今は、学校の経営陣の1人である、中国語を話せる、仕事は面白い、風邪はそれほど感染力が強くないであろう、だから仕事に行くことに対する懸念はなかった、1人暮らしなので誰かに感染させることもない、ニュースでウイルスについて何もいっていない、単なる鼻かぜだろう
2日目: 喉が痛い、子どもの頃母がやっていたように、お湯に蜂蜜を溶かして飲んだ、効果あり
3日目:喫煙しないし、お酒もほとんど飲まない、しかしこの風邪速く治さなくてはいけない、健康で仕事ができるように、医療目的で、お湯と蜂蜜にウイスキーを少し入れた、ホットトディーと呼ばれている飲み物
4日目:昨晩は赤ん坊のように眠った、中国のウイスキーは明らかにすべての病気の治療薬である、今晩もホットトディーを飲む
5日目:風邪は治ったようだ、大したことはなかった
7日目:甘かった、気分がすごく悪い、風邪なんていうものではなかった、身体中が痛む、頭がガンガンする、目がひりひり痛む、喉が締め付けられるようだ、風邪が胸の方へ降りて行った、空咳をしている、インフルエンザだ、蜂蜜湯以上のものが必要、ウイスキーを入れても入れなくても、気分はよくならない
これらの症状は、今日の午後一気に襲ってきた、一晩休むことで魔法のように治らないかぎり、明日は仕事に行けない、本当に体がだるいというだけではく、このインフルエンザを同僚に移してはいけない
8日目:今日は仕事を休む、同僚に多分1週間休むと伝えた、骨も痛み出した、すぐに治るとは思えない
ベッドから起き上がるのにも痛む、枕をクッションにして、テレビをみた、咳をすると痛むのでなるべく咳をしないようにした
9日目:アパートに住み着いている子猫も気分がすぐれないようだ、いつもの元気なネコではない、食べ物をあげても食べない、僕も食欲がない、
10日目:まだ熱がある、200mlのウイスキーを使い切った、買い物に出かけられないくらい気分が悪い、どうせもうホットトディーは効かないと思うからどうでもいい
11日目: 突然、少なくとも身体的には良くなった、インフルエンザは消えた、だけどかわいそうに子猫は死んだ、僕の病気と同じものだったのか、ネコが人間のインフルエンザに罹患するのかわからない、気分が落ち込んでいる
12日目: 再発した、インフルエンザが終わったと思ったら、より強力になって戻ってきた、呼吸が苦しい、トイレに行くだけで息切れがし、疲労する、発汗、発熱、眩暈、悪寒、テレビを見ても、言っていることが理解できない、悪夢のよう.
午後、窒息しそうな気がする、人生でこんなにひどい病気になったことはない、本の少しの空気しか吸えない、息をすると、肺が紙袋がくしゃくしゃにつぶれるような音がする、これは何かおかしい、医者に行く必要がある、でも救急車を呼ぶと、高額なお金がかかる、僕は病気だ、でも死ぬほどではないよね?
タクシーなら大丈夫だと思う、留学している外国人の医師がたくさんいるので中南大学病院へ行くことにした、理性的ではないが、熱があるので英国人の医師に診てもらいたかった、中国語はかなり話せるのでタクシーを呼ぶときなどは問題なかった、20分の乗車、病院に着くや否や、医師は肺炎と診断、それで肺はあんな音を立てていたのだ、たくさんの検査をした、6時間かかった(訳注:12月6日)
13日目:昨晩遅くアパートに戻った、肺炎に抗生物質が処方された、でも使いたくなった、僕の身体が薬に抵抗性をもつのが心配だった、本当に病気になってそれが必要な時、効かないかもしれない、できれば伝統的な療法で対処する方がいいと思う
肺炎だと知ることは有益だった、僕は25歳で全般に健康、心配する必要はないと自分に言い聞かせる、タイガーバームがあった、それは、ステロイド入りヴィックスヴェポラッブ(訳注かぜ治療用の胸部塗付式吸入薬軟膏)みたいなもの、お湯をはった洗面器に注ぎ、頭の上にタオルをかぶせて蒸気を吸った、伝統に従った、もし必要なら抗生物質がある
14日目: お湯を沸かす、タイガーバームを入れる、タオルを被る、1時間蒸気を吸う、繰り返す
15日目: 同じ日々の繰り返し
16日目: オーストラリアにいる母に電話、もっと早く電話をすると母は心配して飛行機に飛び乗るから、中国への旅行者ビザを取るのには時間がかかるし、母親の声を聞いて嬉しかった、声がガラガラだっだけれど、「本当に気分が悪い」と伝えた
17日目: ちょっと良くなった、でも糠喜びは禁物、前にあったから
18日目: 肺は枝の束が折れるような音はもうしなくなった
19日目: よろめきながらもタイガーバームを買いに出かけるほど良くなった、鼻詰まりはなくなった、隣人の料理の臭いがわかる、2週間で初めて食欲を感じた
22日目: 今日仕事に戻れるかと思ったが、だめだった、肺炎はなくなった、だけど身体がトラックに轢かれたみたいに痛む、副鼻腔が激痛、鼓膜が破れそう、すべきではないが綿棒で耳をマッサージした、痛みがなくなるようにと思って
24日目:万歳、回復したと思う、インフルエンザがこんなにひどいって誰が知っている?
36日目: 友達からの情報で急いで買い物にでかける、あきらかに、中国官吏たちは武漢を襲った新しいウイルスを心配している、外出禁止令か移動制限の噂が出回っている、これが何を意味するか僕は知っている、買占めパニックである、他の人と同様、僕も必要なものの買い置きする必要がある
37日目:噂は正しかった、全員が屋内に留まるよう通達があった、聞いたところによるとウイルスは肺炎を起こし得る悪性のインフルエンザみたいなもの、なんだか聞いたことがあるような病気だ
52日目: 病院からの手紙で、僕が感染したのが武漢コロナウイルスだったことがわかった、もう感染しないことを喜ぶべきだと思う、免疫がついている
けれど、他の人と同様外出時はマスクをしている、しないと逮捕される危険がある、中国政府はウイルスを封じ込めようと完璧を期している
67日目: コロナウイルスの話しは全世界に知れ渡った、僕もフェイスブックで数人の友人に話した、それでメディアにつながったようだ
僕の故郷の地方紙が連絡してきた、多分、件の魚介市場で感染したと思う、安く食べ物を手に入れるには最適な場所だ、普通の中国人が毎日利用する本当の武漢の一部である、僕はそこで定期的に買い物をしている
ウイルス流行が国際的なニュースになって、件の魚介市場で野生動物の肉、コウモリやコアラまで売っているというヒステリックな報告(特にアメリカのメディア)があった、僕はそんな肉を見たことがない
僕がみた唯一の奇妙な風景は、豚や子羊が丸ごと頭付きで売っていることだ
72日目 — 2月4日火曜日: ホットトディーで治癒したことがすごいことだと新聞は思っているようだ
当時何が問題だったのか僕は知らなかったことを説明しようとしたけれど、新聞はそれを聞きたいと思っていないようだ
ニューヨークポスト紙のヘッドラインは、「英国教師、ホットウイスキーと蜂蜜でコロナウイルスを撃退したと主張している」となっている
僕もそれほど簡単だったら良かったと思っているよ