葉月のブログ

命題:ウイルスの糖鎖はヒトの糖鎖と同一なので病因とはならない

資料 その3

2016-01-26 | 論文

子宮頸部病変とHuman papillomavirusならびにChlamydia trachomatis感染の関連 : 中国人と日本人における比較検討

Association of Human Papillomavirus and Chlamydia Trachomatis Infection in Cervical Lesions : Comparative Study between Chinese and Japanese

 

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Human papillomavirus(HPV)16型など特定の HPV type は子宮頸癌の病原因子であるが, HPV 以外の cofactor の必要性も指摘されている. 最近 Chlamydia trachomatis (C. trachomatis) に対する血清抗体価陽性と子宮頸癌との間に相関関係が見出された. 本研究では, case 群: 子宮頸部上皮内新生物 (cervical intra-epithelial neoplasia, CIN) 患者; 中国人22人と日本人145人, 子宮頸部扁平上皮癌 (cervical squamous cell carcinoma, SCC) 患者; 中国人43人と日本人26人, 及び control 群: 細胞診正常の中国人93人と日本人187人の子宮頸部細胞中の HPV 及び C. trachomatis DNA それぞれを polymerase chain reaction (PCR) 法を用いて検出することにより, HPV 及び C. trachomatis 感染と SCC との関係を検討した. HPV6, 11, 16, 18, 31, 33, 35, 52, 58型などの HPV DNA は control 群では中国人9%(8/93)及び日本人4%(8/187)に陽性であった. Case 群では, 中国人の55%(36/65), 日本人の64%(110/171)に陽性であり, control 群と case 群とも, 中国人と日本人の間で HPV 感染率に差は認めなかった. Case 群において, 中国では16型(61%; 22/36), 58型(22%; 8/36), 日本では16型(35%; 39/110), 58型(18%; 20/110), 31型(14%; 15/110)と52型(10%; 11/110)などが比較的高率に検出された. 両国とも16型の頻度が最も高く, 中国ではより高頻度であった(p=0.0067). 多変量解析において, HPV 感染は CIN や SCC の発症に対して独立した risk factor であった(中国; odds ratio (OR)=9.0, 95% confidence interval (CI)=3.6~22.9), 日本; OR=31.7, 95%CI=14.7~68.4). C. trachomatis 感染は, control 群の中国人12%(11/93)と日本人4%(7/187), case 群では中国人20%(13/65)と日本人5%(9/171)に陽性であり, 中国において高い感染率を示した(p < 0.001). 両国において C. trachomatis と HPV 感染との間に相関関係はなく(p > 0.1), また case 群と control 群との間に C. trachomatis の感染率に有意差はなかった(中国; OR=2.2, 95%CI=0.9~5.6, 日本; OR=1.4, 95%CI=0.5~4.0). 以上の結果より, HPV は CIN/SCC の risk factor であるが, C. trachomatis の感染は HPV 感染及び CIN/SCC の発症とは無関係であることが示唆された.



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