◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「ミイラ化された遺体が」って?

2012-05-13 09:45:04 | 気になる言葉、具体例
                                    ふかふか

 前回、「カテゴライズ化されている」という例を挙げ、接尾辞「ize(~化する、~になる)」について書きましたが、「ウェークアップ!ぷらす」で五十嵐アナが「再び液状化になるおそれ」と言い、コメンテーターも「液状化になる」と言っていたことを思い出しました。「~化」についてきちんと理解していない人は案外多いのかなぁ。
 「液状化」とは液状になること。「地盤の液状化」は、地盤が液状になること。「地盤が液状になった」は「地盤が液状化した」と言いますよね、「地盤が液状化になった」とは言いません。よって、「再び液状化するおそれ」「液状化する」です。
 ほかにも例がないか、変な日本語メモを探したらやはりいろいろありました。「競争が過熱化し」「この手作り絵本は製本化されました」「孤立化してしまって」「ミイラ化された遺体が」「○年に健康を悪化させてから」「○○した後、気分悪化し、重体に」「激化する日中関係」ですよ、これって変でしょ!?
 例えば「一部の用法が一般化する」「テロが過激化する」「組織が弱体化する」、これらは、「化」を抜いて「一般する」「過激する」「弱体する」とは言えません。でも、「過熱化する」「製本化する」「孤立化する」は、「化」を抜いて「過熱する」「製本する」「孤立する」と言えます。というよりも、「競争が過熱し」「この手作り絵本は製本されました」「孤立してしまって」と言うのが普通です。
 「一般的になる」「過激になる」「弱体になる」という意味で「一般する」「過激する」「弱体する」とは言いませんが、そこに「化」を付けて、そういうふうになるということを表しているわけです。一方、「過熱する」「製本する」「孤立する」は、それで十分、熱過ぎる(激し過ぎる)状態になる、本の形にする、ただ一人でいるような状態になる、ということを表しますから、「化」は要りません。
 「ミイラ化された遺体が」は面白い例ですね。これが古代エジプトの話なら「ミイラ化された遺体が」でもいいのですが、即身成仏、あるいは現代の殺人・死体遺棄事件や孤独死といった話なら「ミイラ化した遺体が」です。もちろん、これはニュースで聞いた話なのですから「ミイラ化した遺体が」ですよ。つまり、この「ミイラ化」は、「ミイラにする」ではなく、「ミイラになる」です。
 「○年に健康を悪化させてから」はテレビ金沢の番組で聞いたナレーションですが、残念ながらテレビ金沢の日本語力は低いので、面白い例が出るわ出るわ、とほほです。「悪化」は、悪くなるということで、「悪化」というからにはすでに何らかの病気を発症していると考えられ、「○年に病気を悪化させてから」と言うのが普通です。病気というほどでないなら「○年に体調を悪化させてから」ですね。
 「悪化」でもう一つ、テロップというものはどこの局もいいかげんですが、「○○した後、気分が悪くなり、重体に」と言っているのに「○○した後、気分悪化し、重体に」と書いてあるのを見たことがあります。「気分が悪化する」なんて誰も言いませんよね。なぜ素直に「気分が悪くなり」と書かなかったのかなぁ?
 それから、「報道STATION SUNDAY」で「激化する日中関係」というナレーションを聞いたとき、テロップも「激化する日中関係」でした。はて? 何が激化したのかな? 「激化」には、激しくなる(する)こと、という意味しかありませんけど( ̄・ ̄)。

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