日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

吉と出るか、それとも・・・-百貨店の営業時間短縮-

2009-03-11 22:18:23 | ビジネス
日経新聞他に、伊勢丹、4店で営業時間を30分短縮 2交代制とりやめ と言う記事が、掲載されている。

バブル崩壊後くらいからだろうか?百貨店や大手スーパーの営業時間が長くなり、定休日が無くなった。
それは、少しでも売上確保のためだった。
今では、24時間営業と言うスーパーもある。
深夜に、どれだけの人が買い物に行っているのか分らないのだが、1社が実施すると追従するように、我も我もと拡大する傾向があった。
我が家の近所のスーパーも、24時間営業と言うトコロがある。
残念ながら、深夜に利用した事が無いので、どれほどの賑わいなのかは知らない。
ただ、以前から「営業時間が延びたからと言って、売上にそれほど影響が無いのでは?むしろエネルギーと人件費の無駄」と言う気がしていた。

ところがここに来て、百貨店などでは「定休日復活」とか、今回の伊勢丹の営業時間の短縮が始まった。
百貨店の売上は、前年比割れが続いている中での判断だと言うことを考えれば、売上よりも経費節減を優先したとも考えられる。

しかし考えてみれば、24時間スーパーが営業していない事で、どれだけ生活に不自由があるのだろう?
百貨店にしても、地下の食料品売り場が賑わう時間帯にさえ、影響が無ければ営業時間の短縮をしても問題ないように思う。
地下の食料品売り場にしても、一番賑わう時間と言うのは、夕方5時過ぎ~7時くらいまでなのでは?
と言うのも、仕事帰りに「見切り品・タイムセール」を狙って、買い物をする女性達が多いからだ。
現在のような経済状況であれば、遅くまで残業をしているとは考えられず、男性も同様だろう。
とすれば、遅くまで営業する意味があまり無い、と言う判断があっても当然のことだろう。
なんと言っても、百貨店は営業している間相当の光熱費+人件費を使っているからだ。
さすがに今は、派遣スタッフを使っているトコロもあるだろうが、それでも相当の経費を使っているはずだ。

むしろ、百貨店や大手スーパーが営業時間の短縮によって得られるモノは、何も様々な経費削減だけではないのではないだろうか?
環境と言う視点だけではなく、生活者のライフスタイルと言う意味だ。
個人的には、今の日本人はもっと自分の時間を大切にすべきだ!と思っている。
自分の時間と言っても、家族と過ごす時間であったり、自分の趣味や勉強のための時間と言うコトだ。

モノを買わないのではなく、モノを買うための時間(=売り場以外の場所で、吟味して買い物をする為の時間)と言う使い方もあるのではないだろうか?
営業時間を短縮するのであれば、そんな提案を百貨店もしてもらいたいと思うのだ。


アパレルの低価格化と国内産業

2009-03-11 12:55:22 | ビジネス
昨日の夕方、ユニクロが990円のジーンズを売り出すと発表した(紹介記事は日経新聞)。
この価格にも驚いたのだが、ユニクロにセカンドライン(=低価格商品ライン)があることもスッカリ忘れていた。

昨年だったと思うのだが、元々低価格のカジュアルアパレルのユニクロが、それよりももっと低価格のブランドを立ち上げたと、話題になったことがあった。
一時的に話題にはなったものの、その後パッタリと聞かなくなり、いつのまにか忘却の彼方へと・・・。
その事を、やっと思い出したのだ。
と言っても、元々カジュアルウェアのユニクロの中で、どれだけの差別化ができるのかやや疑問なトコロがある。

いわゆる海外の有名ブランドの場合、ファーストラインと呼ばれるデザイナー本来の商品ラインがあり、セカンドラインはカジュアルウェアなどが中心となるため、価格も下がると言うのが一般的だ。
その意味では、ユニクロの中での差別化と言うのは、価格の違いだけと言う事にもなりかねないような気がする。

とは言うものの、消費者にとっては今の経済状況の中では歓迎ムードだろう。
縫製なども中国よりも安いカンボジアなどが中心となり、素材も国内調達と言うことでは無さそうだ。
価格とのバランスを考えれば、仕方ないだろう。
考え方を変えれば、カンボジアなどで雇用を創出する機会となると思えば、今のようなグローバル経済の中では、当然だと考えるべきなのかも知れない。

もちろん、国内の繊維産業や縫製産業も時流に任せて、指をくわえたまま衰退の一途を辿るようなことでは、まずいだろう。
小さな繊維企業の中には、日本伝統の技術を使い極細繊維を作り出し、それが海外の有名ブランドの目にとまり、商品化されてる。
先日のオバマ大統領就任式で、ミッシェル夫人が着ていた黄色のモヘアのニットカーディガンが、山形の繊維企業の糸で作られていたと、話題になったことは、記憶に新しいところだ(紹介記事は山形新聞)。
この企業のように、日本国内の繊維企業はその持っている高い技術力を持って、付加価値性の高いモノ作りで市場を創り出しすチャンスなのかも知れない。