日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

助成金を求める前に

2009-03-23 20:44:31 | アラカルト
読売新聞のWEBサイトに、環境対応車“乗り換え”に20万円助成、経団連会長が提言と言う記事が掲載されている。

経団連会長の御手洗さんの言うとおり、自動車産業は様々な業種が関わる裾野の広い業界だ。
そして、ドイツだけではなくフランスなど欧州では環境に配慮したクルマの買い替え助成金によって、新車の販売台数が伸びたと言う実績もある。
それはそれで分るのだが、どこか違和感を感じてしまうのだ。

今の日本経済の不安要因となっているモノは、何だろう?と、考えると「雇用」ということがあるのではないだろうか?
「雇用の安定」によってもたらされる、各世帯の収入の安定が実感できれば、それなりに消費にまわるお金も出てくると思うのだ。
ところがその根本となる「雇用」が不安な今、例え自由に使えるお金があったとしても、将来への先行き不安によって消費マインドそのものが冷え込んでしまっているように感じるのである。

実際、今日発表になったスーパーの売上などでも、衣料品などの不振に加え、一般食品まで売上が落ちていると言う。
一般食品と言っても、おそらくビール(と言うより、第3のビールか?)などの嗜好性の高い食料品の売上が落ち込んだのではないか?と考えるのだが、日々の食品などまで買い控えるようになってしまう傾向が出てきているとすれば、それは「消費マインドの冷え込み」というレベルの問題ではない。
と言うコトは、今の生活者は「切り詰められるトコロは、何でも切り詰める」という「聖域なき家計節約」になっているとも考えられるのだ。
これでは、いくら大手スーパーが「生活応援商品」と言って、値下げ商品を数多く店頭に並べても、効果のほどは期待できない。
むしろ、消耗戦と言う状況になりかねない。

そこまで消費マインドを冷え込ませてしまった背景を、まずシッカリ考え、対策を練らないと無理なのではないだろうか?
むしろクルマの買い替えを考えられる人たちは、まだまだ経済的に余裕があり、助成金が出れば「買い換えたい」という気持ちを後押しする事にはなっても、経済的効果は思ったほどではないのではないだろうか?

御手洗さんの言葉には、企業を取り巻くステークホルダーに対する思いやりと言うモノが感じられないのは、助成金を求める一方で、その原因となる問題に取り組む姿勢が見えないことにあるのではないだろうか?