はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

ZEROの話 其の二

2006年01月17日 | しょうぎ
 大阪に行ったZEROが山口にいる彼女に会いにきて、そのあと泊めてくれと僕の部屋へきた。(そのときはまだ僕も山口にいた.)
 僕とZEROはもともとあまり話したことがない。
 「東京で将棋の賞金稼ぎやってたんだってね。」
 「だれに聞いたーん?」
 いまなら根堀葉堀そのことを聞いたと思うがそのときはそれほど将棋に興味のない時期だった。ZEROのほうも将棋からはなれたい時期だったらしく、それ以上はしゃべらなかった。
 しかし僕の部屋にはZEROの好きなゲームがないし…結局将棋をすることになった。僕とZEROが将棋を指すのはそれが初めてだった。
 そのころの僕の棋力は初段よりちょっと上ぐらい。ZEROのほうは賞金稼ぎで食べていこうなんて馬鹿なことを考えるくらいだから強いに決まっている。「県代表クラス」…最低でも五段だ。
 勝てるわけない。4番やって全部負け。それでもそれ以前には将棋の話を一度もしたことがないので、僕が戦法や手筋を知っているのがZEROには驚きだったとおもう。
 それ以来ZEROには会っていない。連絡先も知らない。

 それから数年後、あるきっかけがあって僕の将棋熱は高校時以来の復活をした。
体調を崩して十分に働けなかったが、その僕を励ますように将棋に関して「小さな不思議なこと」がときどき起こった。(それについてはまたいずれ話すこととして)
津和野将棋同好会の人に熱心に入会をすすめられたのもそのひとつだ。僕の家にまで来て誘われた。それで行ってみたのだがそのとき隣で指していた爺さん(仮面ライダーの死神博士に似ている)がなんの前ふりもなくこうつぶやいたのだ。
 「○○君は元気かなあ。」
 ○○君とはZEROのことだ!ZEROは津和野の出身だ。まちがいない。どうやらこどものときからこの津和野将棋同好会で腕をみがいていたらしい。こどもなのにめっぽう強いのでどこに連れて行っても人気者だったようだ。
 こらえきれず僕は言った。「○○君ならオレも知っています。今大阪にいるでしょ?」
 そのときに聞いた話ではZEROもまた将棋熱を復活させ、「大阪代表をねらっているようです。でも大阪は層が厚くてたいへんだと言っていた」そうである。
 以来僕は将棋新聞などのアマチュア将棋の全国大会の記事をみるとZEROの名前を探している。ついに(!)数年前代表として出場しているのを発見した。一回戦で負けていたが。
 そして昨年6月、衝撃的なニュースがとびこんできた。   [つづく]
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