はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

終盤探検隊 part22 ≪亜空間の旅≫

2015年04月30日 | しょうぎ
≪月3七桂図≫

    [Moonlight night~月夜の晩だよ~]

  月夜は続くよエビィバディ
  Moonlight Night Moonlight Night
  Hey 見てるもいいけど騒ごよ
  Moonlight Night Moonlight Night 
  ドレスをまとい
  華麗に舞う
  みんなごらんよ私のセクシィダンスを
  ほらね負けじとあんたも一緒に踊ろうよ

                 (モーニング娘。楽曲『Moonlight night~月夜の晩だよ~』歌詞より 作詞・作曲=つんく)



 2010年フランス・パリのJAPAN・EXPOで行われたモーニング娘。のコンサートは、モーニング娘史上最高のパーフォーマンスと評価されているようだ。このコンサートでのオープニング曲が『Moonlight night~月夜の晩だよ~』だった。月に吠える狼の「ワオォ~ン」という声がまず入り、モー娘のメンバーが登場してこの曲を歌い始める。
 その恰好は、“ピンクのバニーガール”といういでたちである。おそらく、この衣装が発表された時、モー娘のファンもはネガティブな意味で驚いたのではないか。これは恥ずかしい、と。
 ところが彼女達が歌い始めると、そんな不安を吹き飛ばし、ウサギの耳の衣装で歌って踊る姿がかっこよく見えてくる。マイナスを一気にプラスに転化して、ステージを我が物としてしまう。    →モー娘。パリ公演

 この時期のモーニング娘は、ファンの間では“プラチナ期”と呼ばれるようになった。
 2010年のメンバーは8人。平均年齢は21~22くらい。
 高橋愛、新垣理沙、亀井絵里、田中れいな、道重さゆみ、ジュンジュン、リンリン、光井愛佳がその時のメンバーである。(この前年までは久住小春がいて9人)

 しかし絶賛された“プラチナ期”の時期のモー娘。のCDは本当に売れていない。
 その理由は明らかだ。アップフロント事務所が、新曲が出てもほとんど宣伝に力を入れていないからである。まるで売ることをあきらめてしまっているかのようだった。
 この頃まで、この事務所は、モーニング娘。の解散を考えていたのかもしれない。TVへの露出も少なく、メンバーの名前も世間一般にはほとんど認知されていなかった。 
 “本当に売れていない”とうっかり書いたが5万枚くらいは売れている。商売としては成立している。事務所としては解散を考えていたのに、彼女たちのステージでの頑張りが、TVへの露出がなくなっても応援してくれるファンたちを引きつけて離さなかったということだ。
      →モーニング娘。CD売上一覧

 2010年9月になって、モーニング娘。は新メンバー4人(9期)を加えた。最年少は12歳の小学生である。ここでどうやら事務所は方向転換して、モーニング娘を“新生”させることを決めたようである。
 新しい若いメンバーが加わることで、そのパーフォーマンスのレベルは落ちる。
 9期が加入して最初につくられた楽曲が『まじでスカすか』である。この曲には“明るさ”があった。新メンバー10代前半のまだ技量の未熟な少女たちのもつ“未来”が、行き詰まりをなんとなく感じさせていたモー娘。ファンの未来に明るさをもたらしたのである。
 加入したばかりの12歳の新メンバー鞘師里保は、高橋、新垣とともに3人で、『Moonlight night~月夜の晩だよ~』をかっくよく、歌って踊った。 →そのライブ映像

 そして、昨年2014年の11月、道重さゆみがモーニング娘。を卒業した。フランス公演で絶賛された8人のモー娘メンバーはこれですべて卒業となった。




 さて、我々終盤探検隊の気力・体力も鈍り、報告が滞っている。
 なんとか頑張って前に進んでいこう。

 我々が進んでいる道は≪亜空間、月の道≫である。下の図は、「先手2五玉」に対し、後手が「5一歩」と受けたところ。

≪月5一歩図≫
   〔ら〕4一銀  → 後手優勢
   〔り〕9一竜  → 後手優勢
   〔る〕3四歩  → 後手優勢
   〔れ〕3三歩  → 後手優勢
   〔ろ〕7七角(6六角) → 後手優勢
   〔わ〕2六玉

 この後手5一歩に対して、先手の勝ち筋がまだ見つかっていない。
 我々が思いつく最後の手段〔わ〕2六玉を今回は探査研究していく。

≪月2六玉図≫
 前回、前々回の終盤探検隊レポート(part20、21)では、後手5一歩に〔ろ〕7七角と打ち、後手3三歩に、2六玉、4八とという展開を研究探査した。(結果は後手優勢)
 そして今回は、この図のようにその角(7七角や6六角)を打たずに単に〔わ〕2六玉としたのであるが、ここで後手4八となら、そこで先手は次の図のように「6六角」と打つ。

6六角図1
 これが先手「2六玉」のねらいになる。先手は7七ではなく、できるなら6六に打ちたいのだ。6六角に後手が3三歩なら、4八金、同金、同角と後手の駒を掃除する手を指せるからである。
 (2六玉の前に6六角と打つのは、後手に5六と、7七角、6六歩と指す手段があり、この展開は後手が指せるので、その場合には6六角はうまくいかなかったのであった。この場合は、後手が4八とと指してからの「6六角」なので、その心配がないわけである。)

 6六角に、3三歩、4八金、同金、同角、3四桂、1七玉、3八金で次の図。

6六角図2
 5九角、2九金、9一竜、2五桂、1八玉、1九金、同玉、3七銀成(次の図)

6六角図3
 3五金、4六桂、2五金、3八桂成、3七角、同成桂、2九金、1七香、1八香、4七角、3九金打、1八香成、同玉、2五角成、2八銀(次の図)

6六角図4
 形勢不明である。


 ここまでの手順で、後手の3四桂では、換えて、後手5三金もある。
 これは5三金に、8五飛、4四金、3六歩、4七銀不成、4二金(次の図)という進行が予想される。

6六角図5
 これも形勢不明である。ここから先は、先手が好調な変化が多い印象だ。

6六角図6
 さて、先手にとっていちばん問題となるのは、「6六角」に、“6五歩”(図)と打たれる手である。
 ここで2二角成は“暴発”なので、先手は7七角と引くことになるが、すると今度は3三歩に4八金、同金、同角という筋がなくなる。
 だから6五歩、7七角、3三歩と進みそうだが、これは前回(part21)で研究報告した形とほぼ同じである。その変化の結論は後手優勢と出たが、その変化とこの場合との違いは後手が「6五歩」と打ってそこで一歩使っていることだ。それによって、“先手優勢”に導く変化がこの後にあるかどうか。
 我々の(大まかな)見立てでは、まだそれは発見できていない。ということは、この6五歩、7七角、3三歩以下はやはり後手優勢なのかもしれない。調査がまだ浅く確定とは言えないが、その可能性が高い。

 先手の「2六玉」に、「4八と」以下はそのような見込みとなっている。


 さて、以上のことを踏まえた上で、実は後手にとってさらに有力と思われる手段があるので、それをメインに今回は以下、研究していきたい。(先手の勝ち筋を見つけたいと思っている我々にとっては憂鬱なことであるが。)

≪月3七桂図≫
 「実は後手にとってさらに有力と思われる手段」というのは、この図の「3七桂」である。
 2六玉に3七桂は有効な手である。同桂、同銀不成となれば、これが“王手”になるので、先手がわざわざ一手と費やして指した2六玉を無駄手にしたことになるからだ。

 「3七桂」、この手に対して、先手の有力手は次の4つと我々は考えた。

 【1】1七桂、【2】8八角、【3】3三歩、【4】3四歩

1七桂図
 【1】1七桂には、(2九桂成もあるが)4九桂成が好手となる。同金に3七銀不成として、後手の勝ちがあっさりと決まってしまう。3五玉には5三金で、先手はこの中空の玉を守りようがない。


8八角図1
 【2】8八角はどうか。
 8八角に2九桂成を研究する。(8八角に3三歩も後手にとっては有力)
 2九桂成、3一飛、4四桂、3二飛成、3一歩(次の図)
 先手は3一飛~3二飛成と銀を取りながら竜をつくることができた。(なお、この場合は3一飛に換えて3一金だと、△3三桂が先手玉への“詰めろ”になって後手勝ち)
 3一飛に対して3三銀直では、同角成で先手勝ちになるため、後手は2九桂成~4四桂としたわけである。

8八角図2
 ここで2二竜はあるだろうか。
 2二竜、同玉、4五角、2四飛、1七玉、3七銀不成、5五角、3三桂(次の図) 

8八角図3
 先手負け。
 竜を切って4五角と打ってみたが、2四飛の返し技があった。
 また、2二竜、同玉に、4四角、同歩、3四桂で後手玉が詰めばよいのだが、詰みはない。
 2二竜と切る手はないようだ。


8八角図4
 というわけで、戻って、後手の3一歩に、先手は3四竜と竜を逃げることになる。

8八角図5
 後手は1九成桂(図)。 香車を入手。

 そこで先手がどう指すのがよいか。
 1五歩が玉の移動スペースを拡げて指したい手の一つだが、それは後手5八とが来る。5八と以下後手に金を入手されるその前にできるなら勝負に持ち込みたい。
 そこで4一桂成と指してみよう。次に3一成桂で後手玉に迫るねらいである。

 後手はそれを許さじと3二香。 以下、3三歩、同香、4五竜、3七銀不成、1七玉(次の図)となる。

8八角図6
 この図はどうやら後手良し。あとは後手がどう決めるかという場面である。
 ここで後手は4六金という手も見えるが、5八と以下を紹介する。金を取りにいく。
 それなら先手は4七竜と金がタダで取れるが、そう指すと以下、5九と(詰めろ)、1五歩、2八銀不成、1六玉、1四歩で後手勝ちがはっきりする。
 なので5八とに、同金、同金、1五歩としてみる。
 これに対してもやはり後手は1四歩と端歩突き。
 先手は3八歩と工夫して応じるが、2八銀不成(取ると詰み)、2六玉、2四金となって、次の図である。

8八角図7
 この図は、後手の持駒が歩しかないのでなんとかなりそうだが、しかし実際はどうにもならない、そういう図なのである。なんといっても後手玉は穴熊である。駒を渡さず迫ることが困難だ。
 この後手2四金は詰めろにはなっていないが、次に1五金、同竜、同歩がねらいで、それを先手は防がなければならないが、1四歩なら、同香、1五歩、同金、同竜、同香で、やはり後手に飛車を渡すことになって、先手勝てない。

 これで【2】8八角は後手の勝ち、が確定となった。


3三歩図1
 次は【3】3三歩(図)を調査する。
 このような攻めをした時に、3三同桂が先手の玉に当たり(王手)にならないようにあらかじめ2六玉と引いたという意味もあるから、この3三歩はぜひやってみたい攻めである。
 この3三歩には、後手は同銀直と取る。以下、3四歩、同銀、3二飛(次の図)

3三歩図2
 この3二飛が先手期待の一手である。後手玉もずいぶんうすくなった。
 後手は3五銀上。
 これに対し、(M)3五同飛成、(N)1七玉があるが、どちらがよいだろうか。

 まず(M)3五同飛成だが、同銀、同玉、2九桂成、3二金、3三飛(次の図)

3三歩図3
 先手3二金に、後手は持駒が「飛桂歩四」なので受けが難しいのだが、3三飛(図)と受ける。
 同金、同桂となって、この手が2五金、3四玉、2四金までの“詰めろ”。
 この詰めろを先手がどう受けるかだが、3六銀には3四桂という好手があってこれで“受けなし”で先手負け。
 なので2五銀と受けてみる。
 以下、4五金、2六玉、2五桂、3四銀、4一飛、3一歩、3六歩、2四桂、5四角、4六金引(次の図)

3三歩図4
 先手勝てないようだ。


3三歩図5
 では3五銀直に(N)1七玉(図)と逃げてみよう。
 後手2九桂成のときに、そこで先手は何を指すか。
 (ア)3四銀と(イ)7七角を調べてみる。

 (ア)3四銀は“詰めろ”であり(2二飛成、同玉、3一銀、同玉、3二歩以下)、後手の狙う2五桂も消している。
 そこで後手は3一歩と受ける。先手は2二飛成。同玉に、4一角(次の図)

3三歩図6
 後手に受けがなくなれば先手が勝ち。しかし(残念ながら)ここでは受けがあってこの図は後手の優勢である。
 2通りの受けがある。一つは2六銀、同玉、3六飛、1七玉、3四飛と銀を抜くやり方。これは次に△2八銀からの詰みがあるので、先手は1五歩だが、2八銀、1六玉、1四歩で後手勝ちが確定である。
 もう一つの受けは2四飛。こちらのほうが見えやすい受けだが、ここでは先手3三歩という手がある。(次の図)

3三歩図7
 後手玉は“詰めろ”。 なので3三同桂と取るが、そこで5二角成。
 これは先手勝ちに見える。
 ところが――

3三歩図8
 2五桂と王手で桂馬を跳ね出す手があって後手の勝ち。
 1八玉と逃げるのは2八成桂、同玉、3七桂成以下詰むので、2五桂には同銀しかない。以下、同飛で、その時に後手玉が詰むかどうかの勝負となる。
 3四桂、3三玉、2二角、3四玉、3三金、4五玉、3四銀(次の図)

3三歩図9
 ここで5四や5六に逃げてくれれば先手が勝つ。
 しかし3六玉、2五銀、3七玉とこちらへ逃げ込んで“不詰め”。 後手の勝ち。


 次に(イ)7七角を調べる。(3三歩図5から2九桂成、7七角
 そこで2五桂と打って先手玉を下に落とし、4四銀(次の図)

3三歩図10
 どうやらこの4四銀と銀を引くのが後手の最善手である。
 この手で4四歩だと5四角で先手勝ち。
 (また、2五桂と打つ手で4四桂とここに桂馬を投入して受けるのも4五角が2二飛成以下の“詰めろ”になっていて先手の勝ち)
 このあたり、お互いにギリギリのところを渡り歩いている感じだ。
 4四銀に、先手の最善はおそらく(a)2九玉と思われるが、(b)4一角(2二飛成以下の詰めろ)だとどうなるか。こちらから調べていく。
 3一歩、3四飛成、1九成桂、同玉、1七香、1八桂、3七桂成、2九金、4八と、3九歩、5九と、2八銀、同成桂、同金、3三銀打(次の図)

3三歩図11
 ここで先手は5二角成から勝負する。
 5二角成、同歩、4一桂成、3四銀、3一成桂、同銀、同竜、2二角、3四竜、3七飛(次の図)

3三歩図12
 後手穴熊もかなりうすくなったが、ここで図の3七飛があった。
 3六銀、同飛成、同竜、3七金、2九金打、3六金、3四桂、3七桂、3二飛(次の図)


3三歩図13
 3四桂で後手玉に“詰めろ”が掛かった。しかし…
 2九桂成、同金、1八香成、同金、2九金、同玉、3七桂(次の図)

3三歩図14
 先手玉が先に詰み。
 というわけで、(b)4一角は後手良しである。


3三歩図15
 なので、(a)2九玉を調べよう。
 2九玉には、3一歩、3四飛成と飛車を追って、3七桂成とする。さらに、1八玉、4八と、6八金…(次の図)

3三歩図16
 後手の手番だが、ここが実はポイントとなるところで、正解手は“3八金”。
 しかし我々の実戦では手拍子で3八とと指してしまうのではないだろうか。それだと形勢はもつれてしまう。
 3八と以下、どうなるかをまず見ておこう。3八と(詰めろ)、1七玉、2八と(詰めろ)に、3九桂(次の図)

3三歩図17(後手失敗図)
 3九桂。この手がある。これは3九同とで、以下は形勢不明となる。

3三歩図18
 だから、先ほどの図で“3八金”が正解となるのである。これなら同じように進んだ時、3九桂は無効である。(3九同とがあるから)
 3八金(詰めろ)、1七玉、2八金(詰めろ)、2六金、3五銀引で、この図になる。
 これで先手受けがなくなった。
 先手が勝つためには、ここで後手玉を詰める以外にない。この図から、3五同竜、同銀、2二角成、同玉、3四桂、3三玉、2二角、3四玉、2五銀、4五玉、3五金、5六玉、4五銀、4七玉、3六銀左、3八玉(次の図)

3三歩図19
 詰みなし。後手勝ち。

 ということで、(a)2九玉以下の変化も、結局は後手の勝ちとなった。


 以上の調査の結果、【3】3三歩も後手勝ちになる、とわかった。
 先手のいばらの道はまだまだ続く。


 次は、【4】3四歩。

3四歩図1
 【4】3四歩と歩を置いておくのはどうか。
 これは2九桂成、8八角と進む(次の図) 

3四歩図2
 ここで1九成桂なら、先手勝ちになりそうだ。すなわち、3一飛、2四香、1七玉、4四桂、3二飛成、3一歩、3三銀(次の図)

3四歩図3
 先手の勝ちだ。4四桂や3一歩の後手の受けが間に合わなかった。
 これは先手の成功例。

 だから後手は1九成桂とせずに、いったん受ける必要があったのである。
 4四桂と受けるか、あるいは4四歩という受けがある。

3四歩図4
 4四歩を見ていこう。
 これを先手同角は、3三歩で後手が良くなる。3三歩成、同銀直が角に当たる。
 だから先手は、4四歩に、6五角と二枚目の角を打つ。後手は3一歩と受ける。
 そこで先手は4四角。今度は後手3三歩がない。
 後手は4三歩、先手は7七角と引く。
 そこで後手の手番。待望の1九成桂。
 先手の1五歩に、2四香。

3四歩図5
 2四香、1六玉に、3七金(図)
 2四香に、(a)1六玉と逃げた。これには後手3七金。 
 後手陣は3一歩と補強したので相当堅く、先手は攻めが難しい。金銀を渡すと先手はすぐに終わってしまう。
 後手のねらいは2七香成から3六金(または3五銀)だ。わかっていても先手はこの攻めを防ぎづらい。
 4五金としてみる。以下、3六金、3八銀、1八成桂、9一竜、2五桂(次の図)

3四歩図6
 後手勝ち。


3四歩図7
 2四香に、(b)3六玉とこちらに逃げるとどうなるか。
 5三金、4八歩、4四金、同角(次の図)
 5三金~4四金が先手にとって困る手になる。4四金には、先手は同角だが…

3四歩図8
 先手はなんとか左翼に玉を逃れさせたい。
 4四同歩、4七歩、同と、同角、5四桂(次の図)

3四歩図9
 しかしどうもいけない。
 5六角、1七角、8五飛、4五桂(次の図)

3四歩図10
 なんだかんだで、捕まってしまうのである。後手の勝ち。



 以上の調査の結果、≪月5一歩図≫から〔わ〕2六玉も「後手優勢」と判明した。


≪月5一歩図≫
   〔ら〕4一銀  → 後手優勢
   〔り〕9一竜  → 後手優勢
   〔る〕3四歩  → 後手優勢
   〔れ〕3三歩  → 後手優勢
   〔ろ〕7七角(6六角) → 後手優勢
   〔わ〕2六玉  → 後手優勢



≪月2五玉図≫
 つまり、この先手の「2五玉」(3四から移動)の手では、後手の最善手「5一歩」があるために、先手に勝ちは出てこないのである。後手の攻め手は小駒(飛角以外の駒)だけになっているがこの攻めは切れない。「5一歩」を打つことで場合によって△3三桂と跳ねて攻めに使うという手段もみている。
 かといって3四の位置で玉が頑張るのは、3三桂打としばられる手があって、先手玉は身動きが取れなくなる。(→レポートpart17 たとえば2五玉にかえて4一桂成では3三桂打で後手良し、7七角に対しても3三桂打が有効でこれで後手良し)
 だから2五玉と先逃げしてみたのだったが…。

 
 先手にもう手段はないのか。
 いや、もう一つ残っている。それが次の図の「3一銀」である。

≪月3一銀図≫

 あの亜空間要塞(後手の穴熊玉)を攻略したいと考えている我々とすれば、だんだんと手段がなくなっていき、ますます気力が萎えてくる状況である。しかし、この図の「3一銀」に我々の未来があると信じようではないか。

         →part23に続く