はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

2023詰将棋その3 答えと解説

2023年06月06日 | つめしょうぎ
『2023詰将棋その3 答えと解説』です。
問題のみじっくり見たい方はこちらへどうぞ





答え↓



答え:  3一歩成  同玉  9七角  2一玉  1一歩成  同玉
     1六飛  同と  1五飛  同と  8八角  6六歩
     同角  同桂  1二歩  2一玉  2二歩  3一玉
     8六角  4一玉  4二角成(4二桂成)  まで21手詰め


解説:
問題図で、可能な王手は3通りしかありません。1一歩成と3一歩成と2二桂成の3通りです。
(2二歩は「打ち歩詰め」で打てません)
初手の正解は、「3一歩成」です。



わかりやすく解説するために、まず次の図の詰め手順から示します。

参考図1
問題図の盤上から二枚の飛車を消したのがこの図です。これだと17手詰めになります。
この問題の「打ち歩詰め打開の流れ」を知ってもらうために、まずこの図から説明します。

この場合の詰め手順は
 3一歩成、同玉、9七角、2一玉、1一歩成、同玉、8八角、6六歩、同角、同桂、1二歩、2一玉、2二歩、3一玉、8六角、4一玉、4二角成
となります。
 ①「3二の歩」を「9七角」に変える。②9七に覗いた角を8八角として角の利きをはずす。③結果「3二の歩」が消えた状態になる。④これで2二歩が打てるようになり「打ち歩詰め」が打開できた。
――――という流れです。
以下、図面で見ていきますと――

参考図2
3一歩成、同玉、9七角としたところ。

参考図3
2一玉と戻りました。やはり2二歩は打ち歩詰めです。
ここで1一歩成、同玉と玉を1一に誘導し、8八角とします(次の図)

参考図4
これで9七角の角の3一への利きがなくなりました。
8八角には6六歩とし、以下同角、同桂と進みます。

参考図5
「3一への利き」がなにもなくなりましたから、「打ち歩詰め」の状況は解消されています。
1二歩、2一玉、2二歩、3一玉に~

参考図6
8六角(図)で仕留めることができます。

なお、3一歩成、同玉の後、9七角に代えて8六角と右の角を先に使うと、後で「一歩」が足らなくなり不詰めとなります。



それでは、「問題図」の解説に移ります。

問題図 (再掲)
この「問題図」では、「二枚の飛車」が中央に置いてあります。これがあるために、1一歩成、同玉の後の、8八角が王手になりません。
つまり、実はこの「二枚の飛車」は邪魔駒なのです。消す必要があります。
消す手段は、1一に玉が来たときに、1六飛、同と、1五飛とすれば消すことができます。
でも、だからといって、「問題図」の初手より1一歩成、同玉、1六飛、同と、1五飛、同と(次の図)を決行しても―――

失敗図1
これだと詰まないのです。持ち歩の数が足らないので、この図は詰みません。失敗です。
飛車を捨てるタイミングを考えなおす必要があります。

途中図1
正解は、「問題図」より、「3一歩成、同玉、9七角」(図)です。

途中図2
玉方は「2一玉」。「打ち歩詰め」はまだ解消されていませんが、“1一歩成、同玉、8八角”で王手ができれば、角の利きをなくすことができます。
そのためには、ここで二枚の飛車を消さなければそれはできません。
このタイミングで「1一歩成、同玉、1六飛」が正解手順となります。

途中図3
さらに、「1六同と、1五飛、同と」で二枚飛車を消去。
これで次の手「8八角」が王手になります(次の図)

途中図4
玉方は「6六歩」(図)と応じるのが最善です(7七歩だと同角右以下駒余りの詰めになる)

途中図5
「6六同角、同桂」これで持ち歩数が "2” になりました。
以下、「1二歩、2一玉、2二歩、3一玉、8六角」

途中図6
「4一玉、4二角成まで、21手詰め」
最終手は、「4二桂成」でも正解になります。

詰め上がり図
詰みました。



最後に、「紛れ筋」を解説しておきます。
「問題図」の初手より「3一歩成、同玉」の後、3手目に8六角、以下2一玉に、3二桂成という手があります(次の図)

紛れ図1
7九の角が1三まで利いていて、後手は1二玉と逃げることはできません、ですので3二同玉と応じ、そこで4二角成と攻めることができます。
有望な攻めに見えます。
以下2三玉、2五飛、3四玉と進みます(次の図)

紛れ図2
攻方の盤上の四枚の大駒が裸にちかい玉を包囲しており、捕まったかに思えますが、実はこの図は “逃れている” のです。不詰めです。
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2023詰将棋その3

2023年06月02日 | つめしょうぎ
わかりやすい「打ち歩詰め(禁じ手)」の形になっていますね。
「打ち歩詰め回避問題」です。

二枚の角が主役となります。




                     → 答えと解説
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2023詰将棋その2 答えと解説

2023年05月22日 | つめしょうぎ
『2023詰将棋その2 答えと解説』です。
問題のみじっくり見たい方はこちらへどうぞ






解答です↓

問題図
答え:  3五銀  同桂  1六飛  同桂  3六金  1五玉
     2五金  まで7手詰め

これが答えになります。7手詰です。
初手に“紛れ”が多く、「3五銀が正解」と見つけるのが、この詰将棋問題のポイントになります。
初手2七銀上、または初手2七銀引、初手2五飛、などが目 につくと思いますが、いずれも3七玉と逃げられ、これを捕まえることができません。

失敗図
初手2七銀上に3七玉の場面。
ここで3八金は、4六玉と逃げる場所があります。以下4五飛、5七玉で逃げ切られてしまいます。
この失敗図に戻って、ここで3八銀とするのも考えられますが、これには4八玉でやはり逃げられてしまします。以下5八金には3九玉です。
つまり初手2七銀上では失敗ということです。

問題図(再掲)
問題図に戻り、それならと、2七金と打つのはどうでしょう。
その手には1五玉です。するとこの玉が1四から逃げていくのを防ぐことができないとわかりますね。

途中図1
初手の正解手は、「3五銀」(図)です。
角道を通し、1五玉なら、2五金で3手詰めになります。

途中図2
2手目の正解手は「3五同桂」(図)。
ここでどうするか。

途中図3
3手目「1六飛」(図)とする。
同桂と取らせることで、3六に金を打つことができるのです。
4手目「3六金」以下、「1五玉、2五金」

詰め上がり図
まで、7手詰め。



この詰将棋は、2012年2月にできました。
7手なので、また「LPSA日めくり詰め将棋カレンダー」の募集があったら応募しようと保存していたのですが、「詰め将棋カレンダー」は2012年正月に発行のものが最後になったようです。
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2023詰将棋その2

2023年05月16日 | つめしょうぎ

10年位前につくったものです。
ヒントはなしで。
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2023詰将棋その1 答えと解説

2023年05月11日 | つめしょうぎ
                    問題図

『2023詰将棋その1 答えと解説』です。
問題のみじっくり見たい方はこちらへどうぞ








問題図

答え  1六歩  同玉  2五銀  同玉  5二角不成  3四桂
    同角不成  2四玉  1五角  同玉  1六歩  2四玉
    3六桂  3三玉  2五桂  まで15手詰め

15手詰になります。途中、5二角不成(5手目) とナラズで角を使うのが大事なポイントです。



途中図1(初手1六歩まで)
初手は「1六歩」(図)。以下、「同玉」に「2五銀」と打って、「2五同玉」に、「5二角不成」と進めるのがこの玉を捕まえる構想です。
初手「1六歩」に、2五玉の変化は5二角成で早く詰みますし、2四玉と逃げるのも3六桂から早詰みとなります。
よって、2手目「1六同玉」が正解手順ですが、そこで3手目「2五銀」と打ちます。

途中図2(3手目2五銀まで)
「1六歩、同銀、2五銀」(図)で、玉を「2五」に誘導します。
「2五銀」に、1七玉なら、3九角、2八合駒、2九桂で仕留められます。
(また「2五銀」に1五玉は、1六歩、2五玉、5二角成以下簡単に詰みとなる)

なお、この「2五銀」に代えて1七歩は、同玉で継続手なしです。

途中図3(4手目2五同玉まで)
3手目「2五銀」に、「同玉」(図)と応じたところ。
ここで実戦で時間がないと“手成り”で5二角成としてしまいそうですが、それだとこの場合は詰みません。ここにこの“詰将棋の仕掛け”が用意されています。5二角成に、3四桂と合駒をされ、以下同馬、1五玉と進んで攻めが止まり失敗とわかります。

ここは、「5二角不成」(次の図)が正解となります。

途中図4(5手目5二角不成まで)
「5二角不成」(図)に、2四玉には、1五角と打って、以下同玉、1六歩、2四玉、3四角成まで。
「5二角不成」に対する正解手順(最長手順を選ぶ粘り)は、「3四桂」(6手目)です。

途中図5(6手目3四桂まで)
桂馬以外の合駒――たとえば香車の合駒なら、同角成、1五玉、1六香で詰みますから、「桂合」なのです。
図の「3四桂合」(図)に、同角成とすると、1五玉で―――

失敗図
これは「打ち歩詰め」の型にハマってしまっています。これを解消できず失敗です。
この図を避けるために、角を「不成(ならず)」で使ってきたのでした。

途中図6(7手目3四同角不成まで)
7手目は、「3四同角不成」(図)が正解手となります。
玉方は8手目「2四玉」ですが、対して3六桂と指してしまうと、やはり「打ち歩詰め」の型となりいけません。
また「2四玉」に、4二角とする手には、3三桂と合駒されて詰みません。

途中図7(9手目1五角まで)
9手目は、「1五角」(図)が正しい手になります。

途中図8(11手目1六歩まで)
以下「1五同玉」に、「1六歩」(図)。
ここで歩を使って玉が1五へ行く手を消します。「2四玉」と追いかえし、そこで「3六桂」です(次の図)

途中図9(13手目3六桂まで)
桂を打って、玉を「3三」に落とし、「2五桂」と二枚目の桂で仕留めます(次の図)

詰め上がり図
詰みました。



この詰将棋は、
未来での失敗の予知夢(打ち歩詰めの行き止まりの図)を見た角が、慎重に行動を選び、「不成」の技で成功の未来への道を切り開いた
  ―――そんなイメージで、どうでしょうか。
詰将棋は、「成功への道筋が一つしかない」という仕組みになっています。失敗の道はたくさんあるわけで、成功することは大変なのです。
ですが、「かならず成功への道筋が一つある」ということでもあるので、それが希望になり、だから詰将棋というシステムは、「やる気を引き出す装置」になっているのですね。
実戦は、「希望への道筋があるかないかわからない」というところで歩みを進めなければならないので、これはほんとうに大変です。
コメント (3)
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2023詰将棋その1

2023年05月08日 | つめしょうぎ
お久しぶり!
2年ぶりの詰将棋投稿です。



実戦で、相手の玉が入玉をねらって中段に出てくることはよくあることです。
そうして、自分の玉はもう絶体絶命の状況―――だとしたら、相手玉を詰め上げるしか勝利への道は残されていません。

がんばって、詰めましょう!
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2021詰将棋その7 答えと解説

2021年11月20日 | つめしょうぎ
LPSA (日本女子プロ将棋協会)『2013年日めくり詰将棋カレンダー』へ、私が応募した詰将棋問題は3つ。そのうち2つが採用されました。
この詰将棋はボツになることを想定して “第三候補” として送ったのですが、意外にもこれが採用されました。もとは11手詰だったものですが、『日めくり詰将棋カレンダー』はこのときは「7手以下」が条件だったので、7手詰に調整したものがこれです。(原案の11手詰問題は最後に紹介)


さて、答えと解説です。     (答えを見ないで考えたい方はこちらへ)


問題図(再掲)
答え: 3八飛  同玉  2八飛  同玉  2九金  3七玉  4七金  まで7手詰


解説:

初手、迷わせます。
候補として、「4七金」、「4七飛」、「4七飛打」、「3八飛打」、「2八飛」などがある。
しかしそれらはすべて “紛れ筋” であり、玉方に “5九玉” と対応されて詰まない(そのように作った)

一例として、「4七金」以下を見ておこう。
4七金、5九玉、2九飛、4九銀(次の図)

紛れ図01
実は「飛と金は “品切れ”」である。なので下段の飛車のヨコ王手に対する合駒は「銀か角」しかない。この図の場合「銀合」にしたが、「角合」でも同じく、この玉は詰まない。
4九銀合に対し王手で迫るなら4九同飛、同桂成、6八銀しかないが、5八玉、5七金引、6九玉と進んで、次の図となる。

紛れ図02
こうなって、「詰まない」とはっきりした。
(攻方7九歩がなかったら金が打てて詰むのだが、これが詰んでは困るので作者は7九歩を置いた)


さて、「問題図」に戻って、初手の正解は、「3八飛」である(次の図)

途中図1(1手目3八飛まで)
「3八飛打」ではない。持駒の「飛」を手元に温存して、「3八飛」とするのが正解手になる。
3八同玉、2八飛以下、簡単に詰みとなる。それが正解手順である。

難しいかもしれない変化は、ここで「“5九玉” とした場合」である。
“5九玉” には、2九飛と打つ(次の図)

変化図01
前回の問題(2021詰将棋その6)で学んだ通り、最下段の飛車の横王手に対しての合駒は「飛、角、金、銀の4通り」だけを考えればよい。
そしてこの問題の場合、「飛、金は品切れ」である。これに気づくことが重要なポイントとなる。
もしも4九金と合駒に金が打てたら、この玉は詰まないのである。しかし金と飛は “品切れ” なので、2九飛に対する受けは、4九銀合または4九角合しかない―――ということになる。どちらであっても、4九同飛と取って、同桂成に、取った銀(角)を、6八銀(角)と打てば―――(次の図)

変化図02
詰みである。
こういうしくみで、2手目 “5九玉” は、2九飛があるので詰ますことができるとわかった。
なお、これは「7手」で詰んだが、持駒の金を使わずに残っている。つまり「7手駒余り」である(駒余りは正解手順として採用しないのが詰将棋の基本ルール)


途中図2(2手目3八同玉まで)
ということで、2手目、玉方は「3八同玉」(図)と応じる。こちらが正解手順となる。


途中図2(3手目2八飛まで)
2手目「3八同玉」には、「2八飛」(図)と打つのが継続手(ここに飛車を打てば、玉は4八~5九と逃げられない)
以下は簡単な詰みとなる。
「2八同玉」(3手目)に、「2九金」と打ち、玉方は「3七玉」の一手。
これには―――(次の図)


詰め上がり図(7手目4七金まで)
「4七金」(図)まで。

「7手」で「駒が余らない」、こちらが正解手順となる。



以上が本問題の答えの解説となります。
作図の段階で「飛、金を品切れ」にする必要があったことがいまの解説でわかったと思います。「玉方2六金配置」が歩ではなく金なのは、そういう意味があるのでした。


この詰将棋は、“一部の人” にとっては大変に難しかったかもしれないと思っています。
“一部の人” というのは、実戦のための詰将棋にしか興味のない人、あるいは、詰将棋の「合駒を考えるのが嫌」というタイプの人です。
そういう人は、苦手な「合駒を考える筋」を無意識に避けてしまうクセがあり、本問題の変化「2九飛に対する合駒は何?」というような思考に慣れていないのです。また、実戦では相手の玉が最下段にまで来ることは稀ですしね。
逆に「趣味としての詰将棋が好き」というタイプの人は、「入玉形」にも「合駒」にも慣れているので、「2九飛に4九銀(または角)」のような変化はすぐに読めてきます。
ましてや、「詰将棋をつくる」という人は、「合駒は何か」、「何の駒が残っているか(品切れなのか)」などは常に考えています。盤上に何の駒を何枚使ってあり、相手の持駒にある駒は〇〇だから‥‥というようなことを反射的に考えるクセがついているのです。
今回の問題が「7手詰めなのに難しい」と思われたとしたら、その人はたぶん「実戦タイプ」の人でしょう。
つまり言い方を変えると、この詰将棋は、「実戦タイプの人をちょっと困らせてやろう」というようなつくりの7手詰め問題ということです。



この詰将棋、上にすでに述べた通り、もとは「11手詰め」の問題でした。

原型図00(問題図)
これが「原型」の問題図です。
内容的には、こちらのほうがよりおもしろいと思っています。
「2六金」の向きが逆になって、「攻方1七歩」が配置されている。

同じように、初手3八飛と飛車を引いて、同玉に―――(次の図)

原型図01(途中図)
ここでこの図の場合は、4九金と打つ “紛れ筋” がある。4九金を同桂成なら、4七角以下この玉は詰んでしまう(以下2八玉には2七金がある)
しかし、4九金に、2八玉なら大丈夫。

やはり正解手順は「7手詰め」の場合と同じで、2八飛、同玉、2九金、3七玉と進む(次の図)

原型図02(途中図)
ここで2七金もあるけれどそれは4八玉と入られてダメなので、やはりここは4七金とすることになる。
以下2六玉、3六金、1五玉、2五金、まで11手詰め。

原型図03(詰め上がり図)
4七金~3六金~2五金という金の活用でのフィニッシュがおもしろいので、作者のなかではこちらの11手詰めが本来の “決定版” となっているのでした。




『日めくり詰将棋カレンダー』は、LPSA (日本女子プロ将棋協会)のヒット製品でしたね。
私のようなレベル(『将棋世界』の「詰将棋サロン」等の雑誌入選レベルには届いていない)の詰め将棋作家の作品も拾っていただける場として、ありがたかったです。
『2013年日めくり詰将棋カレンダー』を最後に、この企画は終わったようです。
もともと、これは中井広恵さん(女流棋士)がLPSA の代表をしておられたときに企画されたもので、彼女がこの『詰将棋カレンダー』の発行 にこだわっていたようです。
その中井広恵さんはLPSAを2014年に脱退されているので、『日めくり詰将棋カレンダー』もそのままなくなり、そして復活することはなさそうですね。もともと採算が取れていない企画だったのかもしれません(しらんけど)

       『ヒロエ、現る
       『鏡花水月 ひろべえの闘い
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2021詰将棋その7

2021年11月18日 | つめしょうぎ

LPSA(日本女子プロ将棋協会)制作・販売の『2013年 日めくり詰将棋カレンダー』に応募して採用されたもの。

7手詰め。



答えは2日後に。
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2021詰将棋その6

2021年11月11日 | つめしょうぎ
一見、30手を超えるような長い手数の問題に見えます。
しかし実はそこまでの問題ではなく、13手詰めです。

答えと解説は2日後に。


             → 答えと解説



ヒントとして、類似の、より易しい問題として次の練習問題を出しておきます。こちらは9手詰め。

練習問題
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2021詰将棋その5

2021年08月24日 | つめしょうぎ
答えは二日後に。


                → 答えと解説
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2021詰将棋その4

2021年08月13日 | つめしょうぎ
9手詰め。


答えは二日後に。


                  → 2021詰将棋その4 答えと解説
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2021詰将棋その3

2021年08月01日 | つめしょうぎ
持駒は「角角銀銀銀銀」
手数は11手です。


答えは二日後に。


              答えはこちらです。
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2021詰将棋その2

2021年07月22日 | つめしょうぎ
短手数です。

答えは二日後に。



              → 答えと解説
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詰将棋

2021年07月16日 | つめしょうぎ
詰将棋。
答えは二日後くらいに。


    答えはこちら
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終盤探検隊 part81 第十代徳川将軍家治

2016年03月08日 | つめしょうぎ
 第十代徳川将軍家治作『将棋攻格』第四十五番は、このような「曲詰め」である。
 この詰将棋作品は、半村良の伝奇小説『妖星伝』の中で「将軍詰め」または「皇帝詰め」として、その小説の重要なピースとして扱われている。ということで、この四十五番が、徳川家治作の詰将棋では最も有名な作品となっている。
 おもしろいデザインの問題図である。都(5五)の玉を、二重の“菱型”が囲んでいる。

   [地獄祭の女王]
「祭主が決まったぞ」
「祭主はあの天道尼だ」
 百十年に一度の地獄祭が近づいているのだ。
  (中略)
「地獄祭が近付いた。諸国に散って直ちに悪虐非道の者たちをここに呼び集めよ。その者らの罪業は隠顕いずれたるとを問わぬ。地獄祭は我ら鬼道の者と俗人が垣根を取り払って親しく交わる唯一の時だ。地獄祭に加わった俗界の悪人は、さらに暴虐に、さらに卑劣に、さらに陰湿に、そしてさらに強大となって滅びをまぬかれると教えよ。破滅仏を携え、神聖咒禁(じゅごん)経を唱して鬼道をひろめるのだ」
 百十年に一度、鬼道はこのようにして一時に拡大し、悪に加担してきたのである。 
                       (半村良『妖星伝』(五)天道の巻より)

「将軍詰も鍵のひとつだ」
 今度は日天が頷く。
「あれこそ何かの鍵になろうな」
「絵馬と将軍詰めの手順と天道尼。この三つが黄金城の鍵を開けてくれるのではあるまいかと思うのだ」
「天道尼がどうしてもいるわけだな」
「そうだ。ひょっとして天道尼は本当に外道皇帝を滅ぼすために生まれて来たのではないかと思う」
                       (『妖星伝』(五)天道の巻より)



 天道尼というのは、鬼道衆をほろぼす使命をもって生まれてきたと自認する剃髪の美女である。鬼道衆の特殊な超能力はこの美女には通用せず、そして天道尼は「紫電」という光線を発揮して鬼道を倒すことができる。
 その天道尼を祭主として、信州松沼で地獄祭が開かれた。天道尼もそれを自分に定められた役割として受け入れる。
 この「地獄祭」が開かれたのは宝暦年間(1750~1763年)のことになるが、おそらく1759年頃ではないかと推定される。宝暦8年(1758年)の美濃郡上一揆の後、田沼意次が大名に取り立てられた後に、「地獄祭」が開かれているからである。
 徳川家の将軍はまだ第九代の家重(家治の父)の時代であり、将棋界では三代伊藤宗看(七世名人)・看寿の時代であった。しかしそれも数年後には、将軍は徳川家治に、そして宗看・看寿は死んで、将棋界は「名人空位の時代」となるのであった。


「おお……」
 男女の間からどよめきが起こった。賛嘆の声であった。
 天道尼の発した美しい淡紅色の光は、消えることなく広場を満たしはじめた。
                       (『妖星伝』(五)天道の巻より)


「二重の円だ」
 平田屋は呟いた。内部の円は外と殆ど同じ色合いで、ただ輪郭が少し濃いだけであった。
「あ、色が変わる」
 太郎がまた空中で叫んだ。墺羅(おうら)は彼らに二重の円を作って見せながら、徐々に色調を変えていた。
 ――赤くなる――
 亥助が言った。
   (中略)
「6六金、同玉」
「何だと…」
 平田屋は凝然としてた。
「あれは皇帝詰めをやっているんだよ」
                       (『妖星伝』(五)天道の巻より)



将棋攻格45番 問題図
▲6六金
 この詰将棋は基本、盤面の左側で駒が動いていく。右側の「と金」は正解手順を辿ると、ほとんど動かない。(わずかに一度動く)
 なお、玉方の「1五と」は“飾り駒”ではないかと思う。つまり、あってもなくても、この詰将棋の内容には関わらない駒である。
 
 さて、それでは「解答手順」を追っていこう。
 初手は▲6六金である。

 美青年が天道尼に招かれた時、皇帝詰の手順の第一がはじまったのである。それは太郎が言ったように、6六金の王手である。二重の円の中央に在った天道尼がその美青年を啖った。美青年は精を抜かれ死に、消えた。
 すなわち、6六金、同玉。


 天道尼が、この詰将棋の「玉」を演じている。死んでいった美青年というのが初手6六で捨てる「金」である。 
 こうしてみると、この徳川家治作将棋攻格四十五番の問題図面、女性性器にも見えてくる。

1手
△6六同玉 ▲7六飛成
 この6六金には同玉しかないが、そこで7六飛成とする。

 次いで天道尼に伐折羅(バサラ)が挑んだ。天道尼はこれをも倒してしまう。墺羅はその時、十一時から七時の線へ降下を示している。そしても精を抜かれて死んだ。
 すなわち、7六飛成、同玉。


3手
 ここで“変化”がある。「正解手順」は7六同玉だが、5五玉と逃げる“変化”だ。
 5五玉には、5六竜、6四玉、7三角成と攻める。

5手目5五玉変化図1
 7三同竜、同銀不成、6三玉、5三飛…

5手目5五玉変化図2
 7四玉、7六竜、7五歩合、6四銀成…

5手目5五玉変化図3
 以下、6四同玉、7三飛成、5五玉、5六竜、4四玉、3三竜まで詰み。(21手駒余り)


3手(再掲)
△7六同玉 ▲7七金 △8五玉 ▲8六金 △7四玉 ▲7三角成
 ということで、初手6六金から、同玉、7六竜、同玉と進む。

 すると6八に位置にいた金が左上方へあがった。迷企羅(メギラ)の挑戦であった。天道尼は迷企羅と交わったのち、8五の位置に退いた。かわりに処女の百合がこれを防いで交わったが、忽ち失神して再び迷企羅は天道尼をとらえる。
 
 7七金に6五玉と逃げるのは、6七香、5五玉、6六金、6四玉、7五金、5五玉、7七角まで。(途中6七香に7四玉には7五歩)
 よって、8五玉と逃げる。

 天道尼は迷企羅との交合に危うくなるとまたしても退くが、6二の位置にいた角が背後から襲いかかり、ここに天道尼と毘羯羅(ビガラ)の交合がはじまったのである。
 すなわち、7四玉、7三角成。



9手
△7三同龍 ▲7五金 △6三玉 ▲7三銀成 △5二玉

 これを救ったのがおゆいの体当たりだった。おゆいは天道尼との交合で愉悦の頂点に達しかけていた毘羯羅を果せさせるがすぐさま招杜羅(チトラ)につらぬかれ、同時に天道尼はまたしても強敵迷企羅にからみつかれてしまう。
 すなわち、7三竜、7五金。


 しかし迷企羅は疲れてみずから天道尼を放してしまい、天道尼はのがれ得たものの、おゆいは遂に招杜羅に屈して悶絶する。
 すなわち、6三玉、7三銀成。


 招杜羅はおゆいを降ろすや、直ちに天道尼と交わる。が、天道尼は死力を揮って自制し、悦楽の絶頂から辛うじてのがれ去る。
 すなわち、5二玉。



14手
▲5三香
 ここで最初から持駒として持っていた香車を使って、5三香と打ちこむ。

 小説『妖星伝』は、この“5三香”を、この地獄祭に外部から闖入してきた平田屋という男の役割として描いている。平田屋は以前から鬼道衆の探している黄金城の黄金を、なんとか横取りできないかとねらっていた男である。

「黄金城の扉を開く鍵の一つが徳川家に伝わる皇帝詰めだ。徳川はそれを将軍詰と呼んだが、何を意味するかはわからずにいた。お、俺は外から墺羅を見ていたが、墺羅に二重の環が生じて、その環が崩れる形から、詰め手順がそれをあらわしていると知った。そして今ここへ来て見ると、俺は外部の者、時の流れが内と外で食い違い、ここの者は遅い時の中にいて俺からは動かぬように見えた」
「うん、それで……」
「今、あの尼と交わって判ったが、俺は外界よりの者。それで符号が合うようだ」
「どんな符号か」
「俺は攻め手持駒の香車」
「判らん。何を言っている」
「十五手目にに香打ちがある。持駒は外界のものだ」
「ええい。今そんな将棋のことなど聞く暇はない。どうすれば黄金城の扉が開くのだ。言わぬか」
 また日天が平田屋の首をきつくしめた。
「詰めるのだ。……玉を。雪隠詰め……」
「ばかな」
 日天は怒って更に力を加えた。
「竜が……詰める」
 平田屋は息絶えた。


 「竜が詰める」と平田屋は言った。この“竜”の役割は、外道衆の頭である日天の役割であった。
 「雪隠詰め」というのは、盤の隅で玉を詰め上げることを言う。この場合は「1一」になる。

15手
△5三同金
 15手目、5三香と打った。
 「正解手順」は5三同金。

 ここで“4一玉の変化”はどうなるのだろう?
 4一玉には、5一香成、同玉、6二成銀、同玉、9五角、5二玉、5三銀…

変化16手目4一玉図
 以下、5三同金、5一飛、4三玉、5三飛成、3二玉、3三竜、4一玉、5一金まで。(31手駒余り) 

 なお、6二成銀~9五角のところで、代えて3一飛からの詰め手順もある。


16手
▲5三同桂成
 この図は15手目5三香に同金と応じたところ。
 これは同桂成とする。


17手
△4一玉
 これには、4一玉と逃げるのが玉方として正解手になる。
 しかし5三同玉も、当然詰まさなければならない。その“5三同玉の変化”をここでチェックしておこう。

変化18手目5三同玉図1
 これには2通りの詰みがある。一つは(1)6三飛、あと一つは(2)6四金である。どちらも35手駒余り詰めとなる。
 どちらの詰みも、潜在的に5九角が働いており、この角の存在がなければ詰まない。
 (1)6三飛は、5二玉、6二金、4一玉、5一金、同玉、5二歩、同玉、4三銀という手順になる。
 ここでは(2)6四金以下の詰みを紹介しておく。

変化18手目5三同玉図2
 6四金を(a)同玉は、6三飛、7五玉、8六金、8四玉、8五歩以下詰み。
 よって、(b)5二玉か、(c)4四玉と逃げることになるが――
 (b)5二玉は、5三飛と打ち、4一玉に、3二金、同玉、3三と、4一玉、5一飛成…

変化18手目5三同玉図3
 5一同玉、5二歩、6一玉、6二銀、5二玉、5三金、4一玉、4二金まで、35手駒余り詰め。

変化18手目5三同玉図4
 (2)6四金に(c)4四玉は、3四金(図)と打って――
 同桂に、5四飛。以下、4三玉、5三飛成、3二玉、2三と、4一玉、4三竜…

変化18手目5三同玉図5
 以下詰み。これも35手駒余り詰めとなる。


18手
▲5二金 △同銀 ▲同成桂 △同玉 ▲5三歩 △4三玉
 ということで、18手目はこの図のように4一玉が「正解手順」となるのだが、これには5二金以下、攻めていく。以下、同銀、同桂成、同玉、5三歩。

 その5三歩(23手目)に、玉方が“同玉”の手を選択するのは――

変化24手目5三同玉図1
 6三飛以下詰みとなる。その詰め手順は、6三飛、5二玉、4三銀(6二成銀もある)、4一玉、4二銀成、同玉、3三と、3一玉、2三桂…

変化24手目5三同玉図2
 4一玉、4二歩、5一玉、6二飛成まで(次の図)

変化24手目5三同玉図3
 これは37手詰めになる。
 なので現代詰将棋ルールで言えば「変化長手数」のキズになる。または、こっちが正解手順となるところだが、最後の4二歩のところ歩を使わず4三飛成からでも詰みそれは駒余り(39手)になるので、この23手目5三同玉の変化を“正解”とするのも微妙な問題が残る。


24手
▲4四歩 △3二玉
 5三歩には、この図のように4三玉(24手目)と逃げるのが一般には「正解手順」とされている。

 これには4四歩。
 4四歩を5三玉は6三飛から、5四玉は6四飛から簡単。
 また4四歩を同玉は、3三銀、5三玉、6三飛、5二玉、6二飛成、4三玉、4二竜、5四玉、4四竜まで詰み。(35手駒余り)


26手
▲3三飛

 よって3二玉だが、そこで27手目3三飛が「正解手順」。

 ということになっているのだが、実はここで「別解」がある。つまり「余詰め」である。
 その「余詰め」手順は、3三銀、4一玉、5二歩成、同玉、6二飛、5一玉、4二銀成まで。

余詰め3三銀の変化図
 これは33手なので、「正解手順(35手詰)」より早い。しかし駒余りなので作意でないことは明らかである。


27手
△2一玉 ▲2二銀 △同玉 ▲2三と △2一玉 ▲3二飛成 △1一玉 ▲1二龍
 「正解手順」の3三飛(27手目)以下は、ここに示されている通りである。
 最後は1一玉を、竜で仕留める。

詰め上がり図
まで、35手詰。


「ああ……」
 天道尼の最後の叫びは、たとえようもなく甘く、生きとし生けるもののすべてのよろこびを合わせてもなお足りぬほど、よろこびに満ちていた。
 そして天道尼は紫の光となって、黄や赤や青や橙や緑や、そのほかのさまざまな光の入りまじった中に砕け散ったのである。
                       (『妖星伝』(五)天道の巻より)



 こうして天道尼と鬼道衆は、「地獄祭」とともにこの世から消えていった。

 この時期と、看寿・宗看の死の時期(1760~61年)とが、だいたい重なっているのが面白い一致である。
 以後徳川家治時代になり、将棋家元の世界は「名人位の空位」が続くことになるが、この時期から「将棋戦術の近代化」が進んだことは、これまで見てきた通りである。その主役は一人ではなく、徳川家治、五代伊藤宗印(鳥飼忠七)、伊藤寿三、九代大橋宗桂、大橋宗順、大橋宗英、他民間棋士たちであった。
 三代伊藤宗看・看寿の詰将棋の天才兄弟は、“黄金の詰将棋作品”を残して旅立ち、将棋の“中世”はこの時期に終わったのである。 


「この光は……」
 影のある者が言った。日円である。黄金の塔のそばにたたずんで、そらを見あげているのである。
   (中略)
 黄金の扉をあけて影のある者が現れた。
「おお」
 その者も光に気付いて空を見上げた。
「至ったか」
「何が至ったのだ」
 日円が言うと、ここ奈落迦(ナラカ)の陋、薄伽梵(バガボン)に在って影を持たぬ者の一人、静海が答えた。
「黄金城の扉が開きはじめたのです」
                       (『妖星伝』(五)天道の巻より)
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