東武野田線。南から北へ「うんが駅」の次の次が「のだし駅」で、その次の駅が「あたご駅」。
愛宕駅。ちいさな駅だった。
「愛宕(あたご)」という地名は全国いろんなところにあるが、千葉県野田市のこの「愛宕」が「アタゴオル」なのだという。
2月、立ち寄ってみたら、特に特徴もない街だった。「愛宕山」もここにはない。 (有名な「愛宕山」と「愛宕神社」は東京港区と、それから京都にある。)
「アタゴオル」で町おこし、というムードも駅前を見る限りではまるでなし。
『アタゴオル物語』。
押入れから引っ張り出して最近読んでいる。
“ヒデヨシ”という酢だこと酒の大好きなメタボ猫の登場するファンタジーである。
作者のますむらひろしが、猫が好きで、宮沢賢治が好きで、愛宕に住んでいたので『アタゴオル』を思いついた。たぶん酒も酢だこも好きなのだろう。才能さえあればミュージシャンになりたかったと昔大友克洋との対談でしゃべっていた。
この人がアニメ映画『銀河鉄道の夜』のキャラクターを猫で描いたので、なんだか宮沢賢治と猫とをむすびつけてイメージする人も多いようだが、「賢治は猫が好きではなかったようだ」と河合隼雄は著書『猫だましい』の中で述べている。たしかに、宮沢賢治の童話の猫は(イエネコではなくヤマネコだが)だいたいいやな感じの役ででてくる。たとえば『注文の多い料理店』で人間を食べようとするのが「猫」である。
実際に猫を飼って観察してみると、「たたかい」に関してもずいぶんやり方が陰気である。生まれつき「不意打ち」が得意のようだ。僕も背後からよくやられる。
たまらなくかわいいが。
本によれば、猫のけんかは際限がなく、犬や猿など社会性の強い動物は相手が「まいりました」と恭順の姿勢を示せば「よし、ゆるしてやる」となるが、猫の場合はその機能がなくとことん攻撃してとまらないんだと。
猫マンガといえば、大島弓子の『グーグーだって猫である』の最新刊も買って読んだ。おもしろかったけれども、大島さん、出版社の人、この絵この厚さ(薄さ)この内容で¥1500というこの価格設定はどう考えてもおかしいよ。 次回は古本で買うことにしよう、と思っています。